十国春秋卷七十五 楚九 列傳 黃匪躬

武穆王に租役を免ぜられる

  • 黄匪躬は連州の人である。幼くして詩名を負い、同郡の張鴻・卲安石・呉靄とともに才華があった。唐の光啓三年、進士に登った。後に梁に仕え、江西の鍾伝の幕で掌記(記録係)を務めた。武穆王はもとよりこれを傾慕していた。折しも匪躬が使いの事で湖南に来ると、王は大いに喜び、その門戸の租役をことごとく蠲(ゆる)した。匪躬は固くこれを辞したが、王は言った、「老夫は常に一度も清風を挹(く)むことができなかったのを恨みとしていたが、今幸いにも会うことができた。ただ湯沐(もてなし)を奉じるに足りないことを恐れるのみである」。彼が重んじられたことはこのようであった。