十国春秋卷四十七 前蜀十三 列傳 爾朱先生

生涯

  • 爾朱先生は成都の人で、字は通微、また歸元子とも号した。唐の僖宗の時、金鶏関の下の石室に隠遁して修錬した。久しくして、ある異人が薬一丸を与え、さらに戒めて「あなたが浮く石を見たら、これを服用すれば仙道は成就するだろう」と言った。これ以来、石に出会うたびに必ず水中に投げ入れてその浮き沈みを見た。人は皆これを狂人と笑った。
  • ある日、峡(三峡)に遊んでいると、老人が舟を□(底本欠字)して待っており、その姓氏を尋ねると「涪州の石姓の者です」と答えた。そこで豁然として悟り、「異人の『浮く石』の言葉は、これに応じたものであろうか」と言い、薬を服用すると軽やかに身が挙がって去った。時に天復末年(904頃)のことである。先生には『還丹歌』があり、蜀中に伝わった。