十国春秋卷二十九 南唐十五 列傳 聶氏

虎から母を救った娘

  • 聶氏は太平郷の民の娘である。父は早くに亡くなり、母と共に暮らしていた。ある日、母に従って山に薪を採りに入ると、母は虎に攫われ、虎が蹲踞して今にも食おうとしていた。聶は柴刀を持って虎の後ろから躍り上がりその背に登り、手で頭を押さえながら首を切り続けた。ともに薪を採っていた者が見て呼び叫びこれを助けて斫りつけると、虎は奮って逃れようとしたが、自ら疲れきって死んだ。聶は薪を捨てて帰り隣里に告げ、共に母の屍を収めた。その時、年は十三歳であった。人々はみなこれを異とした。