酒に生きた生涯
- 毛炳は洪州豊城の人である。学を好んだが自活できず、里人に従って廬山に入り、いつも諸生に一部分ずつ講義しては、得た銭でそのまま酒を沽って酔いつぶれた。当時、彭会は茶を好み炳は酒を好んだので、ある者が「彭生は賦を説くこと茶三斤、毛氏は経を伝えること酒半升」と嘲ったが、炳はこれを聞いて微笑するだけであった。
- その後、螺川の諸邑を遊歴し、酒に出会えば飲み、酔わなければやめなかった。常に酒屋に泊まり、ひどく酔って誤って炉炭に座り込み、後日、尻が痛んで鞭打たれたのかと疑い訊ねてようやくその理由を知った。また常に酔って道端に横たわり、里正がこれを助け起こすと、炳は目をむいてこれを叱り「酔う者は自ら酔い、醒める者は自ら醒める。早く去れ、私の眠りを妨げるな」と言った(『馬令南唐書』には、里の首長である張谷が炳を助け起こすと、炳は「毛炳は張谷に干与せず、張谷は毛炳に学ばず。酔う者は自ら酔い、醒める者は自ら醒める」と言ったとある)。
- のちに南台山に移り住んで数年、ふと書斎の壁に「先生此に住まず、千載ただ空山のみ」と書きつけ、それゆえ大酔して一夕にして卒した。