十国春秋卷十二 列傳 黄冠道人

黄冠道人

  • 黄冠道人は名を伝えず、自ら「鍾離の人である」と称した。高祖が改元して開国した頃、広陵は繁栄し、士人も庶民も肩を並べて行き交っていた。
  • 道人はまるで気が狂っているかのような様子で、一本の竿を手に持ち、竿の先に一本の木を掛け、鯉の形に刻んで、市中を歌いながら歩いてこう言った。「盟津の鯉魚は肉を角(つの)とし、濠梁の鯉魚は金で鱗を刻む。盟津の鯉魚は死に尽きようとし、濠梁の鯉魚は初めて人を驚かす。」
  • また言った。「横に三十六条の鱗を並べ、一つ一つが紫磨金(純金)のように丸い。何のために竿の先に掛けて定めとするのか。世間では魚を見分ける人になかなか出会えないものだ。」
  • この類の趣旨の歌は数十章にも及んだが、当時の人々はその意味を理解できなかった。