封神演義第二十九回 侯虎を斬り文王、孤を托す (斬侯虎文王托孤)

(詩:崇侯虎の無謀な悪行が身を滅ぼし、天下は武王の代に帰すると詠む一首)

崇黒虎、兄を捕らえる決意をする

南宮适が曹州に赴き、子牙の書状を崇黒虎に届ける。書状は崇侯虎の悪行を糾弾し、黒虎自身が兄を捕らえて周営に差し出すことを求めるものだった。黒虎は熟慮のうえ、一族の名を守るため兄を捕縛する決意を固め、南宮适に承諾の返事を託した。

崇黒虎、崇城に入り兄を騙し討ちにする

黒虎は兵を率いて崇城に入り、甥の応彪を助勢すると偽って歓待を受ける。周営との小競り合いでわざと敗れたふりをして応彪を油断させた。一方、応彪は父・崇侯虎に朝歌から援軍を求める書を送る。侯虎は紂王に訴えて三千の兵を得て崇城へ向かうが、黒虎は事前に伏兵を配し、城門で兄と甥をともに捕縛した。崇侯虎は弟の裏切りを嘆いたが、黒虎は「一族全体が天下の恨みを買うより、兄一人を差し出すべきだ」と述べ、二人を周営へ引き渡した。

崇侯虎父子の処刑

子牙は文王の前で崇侯虎父子の罪を糾弾し、斬首を命じる。文王は忍びない思いを見せたが、子牙が処断を進め、二人の首は轅門に晒された。崇侯虎の妻子は罪を問われず、黒虎が崇城を治めることとなった。文王・子牙は黒虎に別れを告げ、西岐へ帰還した。

文王、心痛により病に伏す

文王は崇侯虎処刑の光景が忘れられず、以後幻覚に悩まされ体調を崩す。朝歌では微子が事態を憂慮して紂王に奏上するが、中大夫李仁の諫めもあり紂王は当面静観する。

文王、姜子牙・姫発に後事を託して薨去

病篤い文王は子牙を呼び、諸侯の身でありながら同格の崇侯虎を専断で誅殺したことを悔い、「たとえ紂王がいかに無道であっても、臣下として君主を討つことがあってはならない」と厳しく戒めた。子牙は承諾する。続いて世子姫発(後の武王)を呼び寄せ、子牙を「亜父」として敬うよう命じ、修身・治国の要諦を説き聞かせた後、九十七歳で薨去した。世子姫発が西伯の位を継ぎ、後に武王と諡された。子牙は「尚父」に進められ、百官もそれぞれ加増された。

姫発の武王擁立、朝歌に伝わる

汜水関総兵官・韓栄が文王の死と姫発の武王即位を朝歌に報告する。上大夫姚中は殿下微子と協議し、姫発の動きに謀反の兆しがあるとして紂王への上奏を決意する。