封神演義第三十回 周紀、武成王を激して反かせる (周紀激反武成王)

(詩:君主が臣下の妻を戯れ弄ぶ非道を批判し、これが黄飛虎謀反、周室興隆の伏線となることを詠む一首)

姚中の上奏、紂王取り合わず

姚中が文王の死と姫発の武王即位を紂王に報告し、早期の討伐を進言するが、紂王は姫発をまだ年若い者と侮り、聞き入れなかった。姚中は「殷を滅ぼす者は必ず姫発だ」と嘆いた。

元旦の朝賀、賈氏が妲己の罠にかかる

翌年正月元旦、諸侯・大臣の夫人らが正宮蘇皇后(妲己)へ朝賀する。武成王黄飛虎の妻・賈氏が参内すると、妲己は以前の神鷹の一件を根に持ち、賈氏を罠にかけようと画策する。姉妹の契りを結ぶふりをして酒宴を設け、紂王が来ると賈氏を後宮に隠す。紂王と妲己が語らう中、妲己は賈氏の美貌を仄めかし、摘星楼で紂王が賈氏に対面できるよう仕向けることを提案した。

賈氏、摘星楼で辱めを受け投身する

妲己は賈氏を摘星楼へ誘い、蠆盆の惨状を見せて怖じ気づかせる。そこへ紂王が現れ、賈氏に酒を勧めようとする。賈氏は「君は臣下の妻に会わぬのが礼」と拒むが、紂王は強いて盃を勧めた。賈氏は怒って盃を紂王に投げつけ、罵倒したのち、黄飛虎への操立てを叫びながら楼から身を投げて死んだ。

西宮黄妃、紂王を詰り墜落死する

嫂の死を知った黄妃(黄飛虎の妹)が摘星楼へ駆けつけ、紂王と妲己を激しく罵り、妲己に掴みかかって殴打する。紂王が妲己をかばおうとしたところ誤って黄妃の拳が紂王に当たり、激怒した紂王は黄妃を捕らえて楼下へ投げ落とし、黄妃も死亡した。

黄飛虎、謀反を決意する

賈氏の侍女から凶報を受けた武成王邸は騒然となる。黄明・周紀ら四将が激高して先走ろうとし、飛虎はいったんこれを引き留めるが、四将が「兄は嫂の美貌に頼って栄達したと陰口を叩かれている」と当てこすると、飛虎はついに激怒して謀反を決意する。一族と家臣を率いて財産を車に積み、朝歌を出て西岐へ向かうこととなった。

午門での激突、黄飛虎ら脱出

出発に際し、周紀の勧めで一行はまず午門で紂王と決着をつけることとなる。紂王が自ら出陣して応戦し、周紀・黄明・黄飛虎の三将と激しく渡り合うが、多勢に抗しきれず敗れて午門内へ逃げ込んだ。黄飛虎らはそのまま西門を出て孟津方面へ落ち延びた。

聞太師の帰還と裁定

紂王は事の顛末を百官に取り繕って説明するが、東海遠征から凱旋した聞太師がこれを聞き、「元は天子が臣下に負い目を作った」として黄飛虎を厳しく責めるのは筋違いであると論じ、飛虎の赦免と追跡による帰参を進言する。下大夫徐栄は「天子にも非があるが、黄飛虎が午門で刃を交えたことも臣節を欠く」と両論を述べる。聞太師は結局、吉立・徐慶に命じて臨潼関・佳夢関・青龍関の三関へ檄を飛ばし、飛虎らの逃亡を阻止したうえで自ら追跡し捕らえることとした。