封神演義太乙真人、石磯を収める(第十三回 太乙真人收石磯)

哪吒、敖光を屈服させる

哪吒に踏みつけられた敖光は、悪態をつきながらも動けず、脇腹の鱗を数十枚も剥ぎ取られる痛みに耐えかね、命乞いをする。哪吒は「上奏せぬなら助けてやる」と条件をつけ、逃げられぬよう敖光を小蛇の姿に変えさせて袖に入れ、陳塘関へ連れ帰る。

李靖は哪吒の言を信じなかったが、袖から出した蛇が敖光の本体であると分かり驚愕する。敖光は激怒し、脇腹の傷を見せて「四海の龍王を集め霊霄殿に訴え出る」と言い残し立ち去る。哪吒は父母に、自分は玉虚宮の符命により人間界に降ったのだから龍王が束になっても恐れることはない、事があれば師の太乙真人が引き受けると告げるが、李靖夫婦の不安は消えない。

乾坤弓と震天箭が招いた新たな災い

哪吒は関の城楼に上り、軒轅黄帝以来の宝である乾坤弓・震天箭を見つけ、後日先鋒官として弓馬を鍛える必要があると考え、西南に向けて一矢を放つ。矢は遠く骷髏山白骨洞まで飛び、石磯娘娘の弟子・碧雲童子を貫いて絶命させる。矢に「陳塘関総兵李靖」の銘があったことから、石磯娘娘は李靖を恩知らずと怒り、青鸞に乗って陳塘関に現れ、八卦雲光帕で李靖を白骨洞へ攫い去る。

無実を訴える李靖に対し娘娘は真犯人を突き止めて連れてくるよう命じ、いったん帰す。李靖は関に戻り、哪吒の仕業と見抜いて問い詰めると、哪吒はあっさりと認め、自ら白骨洞へ出向いて娘娘に対決すると申し出る。

石磯娘娘との対決と太乙真人の裁定

白骨洞で哪吒は先手を取り、彩雲童子を乾坤圏で打ち倒す。現れた石磯娘娘は哪吒の乾坤圏を見て太乙真人の弟子と悟り、混天綾も難なく制して哪吒を追い立てる。哪吒は乾元山へ逃げ帰り師に助けを求める。追ってきた石磯娘娘は太乙真人に、弟子を差し出すよう迫るが、真人は「哪吒は玉虚宮の符命により明君を輔けるために降世した者で、私事ではない」と告げる。両者は互いの教え(闡教と截教)や道の高下を巡って詩でやり合い、ついに剣を交えるが、真人は実は頑石の精である石磯娘娘の正体を見抜き、九龍神火罩でこれを覆い、三昧の神火で焼き払い、頑石の本体を露わにして滅ぼす。

哪吒の自死と父母の解放

石磯娘娘を退治した太乙真人は、哪吒に「四海龍王が玉帝に訴え、お前の父母を捕らえに来た」と告げる。哪吒は父母を巻き込んだことを嘆き、師の指図に従い陳塘関へ戻る。四海龍王(敖光・敖順・敖明・敖吉)が父母を捕らえようとする中、哪吒は「一人の行いは一人が引き受ける、子が親を巻き添えにするいわれはない」と言い放ち、自ら腹を裂き腸をえぐり骨肉を父母に返して命を絶つ。四海龍王はこれを見て李靖夫妻を解放する。殷夫人は哪吒の亡骸を棺に納めて葬った。魂魄となった哪吒は乾元山へと漂っていく。