封神演義哪吒、蓮花に化身して現る(第十四回 哪吒現蓮花化身)

母への夢告げと行宮の建立

魂魄となった哪吒に、太乙真人は「陳塘関から四十里の翠屏山に行宮を建てさせ、三年の間香煙を受けよ」と指図する。哪吒は夜な夜な母・殷夫人の夢に現れて訴え、初めは半信半疑だった夫人も、繰り返し現れる哪吒の切なる訴えに折れ、密かに人を遣って翠屏山に行宮と神像を築かせる。哪吒はここで霊験あらたかに人々の願いに応じ、たちまち評判となって遠近から参拝者が絶えなくなる。

李靖、行宮を打ち壊す

半年余りが過ぎ、東伯侯姜文煥との戦のため出兵していた李靖は、帰路に翠屏山で人だかりを見て何事かと尋ね、それが我が子哪吒を祀る行宮だと知って激怒する。廟に乗り込むと哪吒の金身を鞭で打ち砕き、鬼判を蹴倒し、廟宇を焼き払わせ、参拝の民に「これは神ではない」と告げて追い散らす。(詩:李靖が金身を打ち砕き廟を焼く様を詠う一編)帰城後、李靖は殷夫人を責め、勝手に行宮を建てたことをなじり、二度と関わるなと言い渡す。

蓮花化身と復讐

外出中に行宮が焼かれたことを知った哪吒は、鬼判から事情を聞き、乾元山へ上って太乙真人に訴える。真人は李靖の狭量を戒めつつも、香煙を絶たれては体を保てぬと考え、金光洞の蓮花と蓮の葉を用いて哪吒の魂魄を宿らせ、身の丈一丈六尺の蓮花化身として蘇らせる。新たな体を得た哪吒に、真人は火尖槍・風火二輪・豹皮嚢(乾坤圏・混天綾・金磚を収める)を授け、復讐のため陳塘関へ向かわせる。

李靖との死闘、木吒・金吒の仲裁

哪吒は関に乗り込み李靖に一戦を挑む。李靖は歯が立たず、土遁で逃げる。哪吒が風火輪で追いすがると、次男の木吒(普賢真人の弟子)が現れて仲裁するが、哪吒は「骨肉はすでに父母に返した、もはや父子の情はない」と主張し木吒とも斬り結び、金磚で打ち倒して先へ進む。李靖は五龍山雲霄洞の文殊広法天尊に助けを求めて洞に逃げ込む。天尊は哪吒を待ち構え、遁龍樁(七宝金蓮)で哪吒を金の輪に縛りつけて動けなくし、長男の金吒に命じて扁拐で打たせる。

燃燈道人の裁定と父子和解

苦しむ哪吒の前に太乙真人が現れるが素通りし、文殊広法天尊と語らって初めて哪吒を解放させる。太乙真人は李靖にも一言諭し、双方を戒めて別れさせる。しかし解放された哪吒は再び李靖を追い、山崗で追い詰めるが、そこに現れた道人(後に燃燈道人と判明)が仲裁に入る。哪吒が一旦引くよう促されるも従わず、道人にまで槍を向けたため、道人は白蓮でこれを受け止め、さらに玲瓏塔に哪吒を閉じ込め火で懲らしめる。哪吒はついに屈し、李靖を「父」と呼んで拝礼する。燃燈道人は李靖にこの玲瓏塔を授け、哪吒が服従しない時の抑えとするよう命じる。道人は自らを霊鷲山元覚洞の燃燈道人と名乗り、李靖に「今は官途を離れ山谷に隠れ、後に周の武王が挙兵する時に功を立てよ」と告げる。李靖は関に戻り隠棲する。

哪吒はこうして父子の名分を保ちつつ乾元山へ帰り、後に子牙が出陣する際の先鋒として、この因縁が姫昌の羑里幽閉七年に呼応する形で物語は続いていく。

評語

(詩:燃燈道人の玲瓏塔の法力なくば父子が和睦し得なかったことを称える一編)