五代史演義第二十六回 衛州の官舎で賊臣故主を縊り、長春宮で逆子昏君を弑す (衛州廨賊臣縊故主 長春宮逆子弒昏君)

從厚、衛州で石敬瑭に会う

  • 洛陽を脱出した從厚はわずかな供回りで衛州へ落ち延び、途中で河東節度使石敬瑭と遭遇する。從厚は再興への助力を求めるが、敬瑭は衛州刺史王弘贄に相談すると言って別れる。
  • 弘贄は「わずかな供回りでは今さら忠義を尽くしようがない」と冷淡に応じ、敬瑭もそれを従厚にそのまま伝えた。

沙守榮らの奮戦と從厚の孤立

  • 敬瑭の煮え切らない態度に怒った弓箭使の沙守榮・奔洪進が敬瑭を詰り斬りかかるが、敬瑭の部将陳暉と牙将劉知遠に討ち取られる。
  • 劉知遠はその勢いで從厚の護衛数十人を皆殺しにし、從厚を残したまま敬瑭を奉じて洛陽へ向かった。從厚は衛州の州廨に留め置かれる。

從厚の死と一族の惨殺

  • 從珂の廃立の命が下ると、弘贄はその子王巒に鴆酒を持たせて從厚のもとへ送り、飲むことを拒む從厚を絹布で絞殺させた。享年二十一。
  • 從珂は從厚の妃孔氏とその幼い四人の子も皆殺しにさせた。磁州刺史宋令詢だけは從厚の死を悼み自ら命を絶った。

從珂の犒賞と困窮

  • 從珂は清泰と改元し、康義誠ら一部を除き大赦を行うが、府庫は空で軍への恩賞が賄えない。民から強制的に財を取り立て、獄囚や自害者が続出する惨状となった。
  • 太后・太妃の器物まで供出させても約束の額には遠く及ばず、諸軍からは新帝への不満の落首(生き仏を除いて鉄の塊を立てた、の意)が流れた。
  • 李専美の諫言により、無理な厚賞をやめ度量ある統治を心がけるべきとされた。

論功行賞と石敬瑭の処遇

  • 馮道ら旧宰相を留任させつつ鳳翔功臣を要職に取り立て、石敬瑭にも礼を尽くしたが、明宗時代からの確執もあり互いに気詰まりであった。
  • 敬瑭は都に留め置かれ不安から病がちとなるが、妻の永寧公主(曹太后の娘)が仲を取り持ち、從珂はついに敬瑭を河東へ帰任させた。

閩国の内紛(回想)

  • 場面は転じて閩主王延鈞の話。延鈞は帝を僭称し、卑しい出自ながら妖艶な陳金鳳を皇后に立て、長春宮で贅を尽くした淫楽に耽った。
  • 金鳳は男寵の歸守明を寵愛し、さらに李可殷とも通じるなど乱脈を極め、延鈞は瘋癱(中風)で動けぬまま蚊帳の外に置かれた。
  • 別の寵姫李春燕は延鈞の長子繼鵬と通じ、金鳳の取り成しで正式に夫婦とされた。

延鈞の横死

  • 延鈞は国計使薛文杰を寵用して民を苦しめたが、軍の要求で文杰は処刑される。
  • 李可殷が皇城使李仿に殺されたことを機に、繼鵬と李仿が兵を挙げて宮中に乱入し、延鈞・金鳳・歸守明らを次々に殺害。延鈞自身も虫の息のまま宮女に喉を突かせて絶命した。
  • (詩:淫乱に耽った暗君の末路を嘆く内容)

評語

  • 從厚と延鈞はいずれも弑逆されたが、從厚は即位間もなく難に遭い、延鈞は十年在位して淫乱の末に滅んだ。天道というより、明宗の逆取りの罪が從厚に及んだこと、延鈞が僭称以後に淫昏を極めたことが原因であると論じる。