魏鄭公諫錄太宗、朝に臨み群臣に詔す(太宗臨朝詔羣臣)
- 太宗はかつて朝廷で「銅を鏡とすれば衣冠を正すことができ、古を鏡とすれば興亡を知ることができ、人を鏡とすれば得失を明らかにできる。自分は常にこの三つの鏡を保って過ちを防いできたが、魏徴が亡くなり一つの鏡を失った」と述べた。
- 魏徴の死後、太宗は人を遣わしてその邸から遺した文書を求めさせたところ、書き上げたばかりの草稿の遺表一紙が見つかり、字は判読しにくいものの数行だけ読み取ることができた。
- その遺表には、天下の事には善悪があり、善人を用いれば国は安んじ悪人を用いれば国は乱れる、公卿の間には愛憎の情があり、憎む者はその悪ばかりを見、愛する者はその善ばかりを見るため、愛憎の間は詳しく見極めるべきであり、愛しながらもその悪を知り、憎みながらもその善を知って、邪を退けるにためらわず賢を任じるに二心なくすれば、国は治まるという趣旨が記されていた。
- 太宗はこの遺表について、内容の多寡は問題ではなく、自分がこれを忘れることを恐れて笏に書き付け、知るたびに諫めとする、と述べた。
- 巻末に「魏鄭公諫録巻五」とあり、本巻(巻五)はここで終わる。