魏鄭公諫錄天下を有する者は子孫万代を望むと答える(對有天下者皆欲子孫萬代)
- 太宗は、古来天下を有する者は皆子孫万代を望み、政治教化は堯舜を超えようとするが、実際に行うところは堯舜に反することが多い、秦の始皇帝も英雄の主であり六国を平定した後わずかにその身だけは無事だったが子の代で国を失い、桀紂幽厲もまた皆滅んだ、自分はこれを恐れずにいられず、天下の百姓は耳目を澄まし善悪のみを見ているのだから、自ら省みずにいられないと語った。
- 魏徴は、古来人君の難しさは、口にする言葉一つで善悪が定まってしまう点にあると答えた。人君が言葉を発する際、己の過ちを聞こうとすればその国は興り、人を己に従わせようとすればその国は喪びる、「一言以て邦を興すべく、一言以て邦を喪ぼすべし」との古語はまさにこのことだと述べた。また、天下の人は皆陛下の前で己を進めようとし、正しい人は正道で輔佐しようとし、佞人は邪道で媚びようとし、巧みな者は奇服異器を進め、鷹犬を好む者は遊猟を勧めるが、いずれも自ら非とは思わず正しいと思い込んでいる、陛下が常に正道を守れば姦人は効を奏せないが、その道を開けば人々が皆己の欲を遂げようとするだろうと述べた。太宗はこれに然りと答えた。