元史演義合浦の珠還り三軍凱旋し、穹廬に返り各族帰順す(第 五 回 合浦還珠三軍奏凱 穹廬返幕各族投誠)
孛兒帖の拉致
- 蔑里吉部の襲撃を受け、帖木真は母兄弟を連れて逃れるが、妻孛兒帖の車は逃げ遅れ、羊毛の中に隠れていたところを敵に見つかって連れ去られる。訶額侖はかつて蔑里吉人客赤列都の妻であったのを父也速該に奪われた経緯があり、蔑里吉部はその報復として孛兒帖を拉致したのだった。
汪罕・札木合への救援要請
- 帖木真は克烈部長汪罕(脱里)のもとへ赴き妻の奪還を訴える。汪罕は二万の兵を出すと約束し、帖木真にも札木合へ二万の援軍を求めさせる。合撒兒が使者に立ち、札木合は快く承諾する。
三軍の合流とやや険悪な出足
- 不兒罕山で帖木真・札木合の軍が合流するが、汪罕の到着は三日遅れ、札木合が誓約違反だと詰め寄り、両者の間に一時緊張が走る。帖木真の取りなしでどうにか和解し、連合軍は進発する。
蔑里吉部への夜襲と孛兒帖の行方
- 札木合の献策で連合軍は山を越えて布拉克の蔑里吉部営地を夜襲し、多くの捕虜を得るが、頭目脫黑脫阿は既に情報を得て逃げ去っており、孛兒帖の姿もない。捕らえた脫黑脫阿の妻から、孛兒帖は客赤列都の弟赤勒格兒の妻にと目されていたがまだ婚儀は済んでいないと聞き、帖木真は自ら妻を探しに出る。
孛兒帖との再会
- 帖木真は難民の中を探し回るが見つからず、いったんは引き返そうとするが、道中出会った老婢の手引きで薛涼格河のほとりに座り込んで泣いていた孛兒帖と再会を果たす。
論功行賞と養子縁組
- 帖木真、汪罕、札木合の三者は戦利品を分配しようとするが、帖木真は恩義を理由に多くを辞退する。蔑里吉部酋の遺児曲出を養子に迎える。汪罕は先に帰り、帖木真は札木合と旧交を温めて共に一年余り同居する。
帖木真の独立
- ある日、札木合が野心をにおわせる言葉を口にしたことを帖木真は妻孛兒帖と母訶額侖に相談する。孛兒帖は札木合が自分たちを害する恐れがあると見抜き、早めに袂を分かつよう勧め、帖木真はこれに従って桑沽兒河の故地へ戻る。道中で泰赤烏部の遺児闊闊出を第二の養子とする。数年のうちに部衆が三、四万にまで増え、大衆から部長に推戴される。
評語
著者は、汪罕・札木合の助力は厚誼と言えるが、汪罕が期日に遅れ、札木合も年を経るにつれ驕りの色を見せ始めたことが後の破綻の芽になったと評する。帖木真が孛兒帖の言を容れて自立の道を選んだことについては、他人に寄り添うより自らの力で興る方が確かであるとし、「求人は求己に如かず」という古語をもって結んでいる。