繹史冠服(冠服)

衣冠の起源

  • (後漢書より)上古は穴居し毛皮をまとうのみであったが、後世の聖人が絲麻を用い、鳥獣の文や翬翟の色に倣って染めた布で五采の服を作り、冠冕纓蕤を頭飾りとした。易に「庖犧氏が天下に王たるや、天地・鳥獣の文を観て八卦を作った」とあるのに基づき、黄帝・堯・舜が衣裳を垂れて天下を治めたとする。天子・公・侯伯・子男・卿大夫でそれぞれ服の等級(章の数)が異なり、周に至って三辰を旂旗に、九章を服に用いる制へと変化したとする。
  • (後漢書より)委貌冠・皮弁冠・爵弁・高山冠・法冠(獬豸冠)・武冠など、各種冠の形状と、それぞれが夏・殷・斉・楚・趙などの旧制に由来し、秦の統一後にその国の冠を賜って近臣・執法官・武官の服とした経緯を記す。

冠の名称と語義

  • (小爾雅・釋名より)冠・纓・笄など冠に関わる語の字義を説く。冕・衮冕・鷩冕・毳冕・黻冕など祭服の冕の種類と、それぞれの文様(龍・雉・藻・黻)の由来を記す。
  • (白虎通より)冠礼の意義(成人を示し、髪を整え徳を修める礼)、皮弁・麻冕・爵弁・委貌・章甫・毋追など冠の種類ごとの由来と、周・殷・夏それぞれの暦法・色彩観に基づく命名理由を詳しく説く。冕の垂旒が「賢を進め不能を退ける」「讒言を聞かぬ」ことを示す象徴であるともする。
  • (後漢書より)古者は冠のみで幘(頭巾)はなく、戦国以降に武将の頭飾りとして絳袙が生まれ、漢代に幘として定着した経緯を記す。
  • (説苑より)冠礼が成人としての自戒・修徳の意味を持つことを説く。

衣服・佩玉の名称と制度

  • (説文・釋名より)衣・裳の字義、衮(天子の祭服の龍文)などを説く。
  • (爾雅・小爾雅より)衣の各部(衿・襟・裾・襜など)、衣服の種類(襜褕・褰・衻など)の異名を列挙する。
  • (白虎通より)衣(隠す意)・裳(遮る意)の語義、紳帯・鞶帯・佩玉の制度(天子は白玉、諸侯は玄玉、大夫は水蒼玉、士は瓀珉を佩びる)とその身分秩序を説く。
  • (説苑より)天道・地道に通じた者が冠・履によってそれを示すこと、衣服が規矩に則って作られ、徳と符合すべきことを説く。
  • (春秋繁露より)爵位・禄によって服飾・器物・住居・葬送の規格が定められ、身分を超えた服飾は許されないとする度爵量禄の制度を述べる。剣・刀・鈎・冠がそれぞれ四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)に象るとし、文徳を貴び威武を賤しむべきことを説く。
  • (小爾雅・爾雅・釋名・方言より)履・舄・屝・屨など履物の各種呼称、布・帛・染色(縓・赬・纁など)に関する語彙を列挙する。