繹史奔喪の礼(奔喪)
『禮記』奔喪篇を引く。他国に出仕・滞在中に親の訃報を受けた者が、駆けつけて喪に服する(奔喪)作法を記す。
父母の喪に駆けつける
- (禮記「奔喪」より)訃報を聞くと、まず使者に対して哭して答え、事情を尋ねてはまた哭する。父母の喪であれば星を見てから出発し、星が見えるまで進むというように、昼夜を問わず急いで帰る。喪服が間に合わなければ、まず喪服を整えてから出発する。
- (禮記「奔喪」より)国境を越え、家に至ると、まず殯(かりもがり)の前で哭し、その後、括髪(髪を束ねる)・肌脱ぎなどの作法を経て正式に喪服を着る「成服」に至るまでの段階が、時間を追って細かく規定される。
主人でない者が奔喪する場合
- (禮記「奔喪」より)喪主でない者が駆けつけた場合は、喪主が代わってその者への拝礼を行う。齊衰以下の軽い喪の場合は、位置取りや哭の作法が父母の喪よりも簡略になる。
母の喪の特例
- (禮記「奔喪」より)母の喪では、父の喪と概ね同様だが、二度目の哭(又哭)では括髪をしないなど、細部に差がある。
婦人の奔喪
- (禮記「奔喪」より)婦人が奔喪する場合は東階から昇り、殯の東で哭したのち、髪を結い(髽)主人と共に哭礼を行う。
葬儀に間に合わなかった場合
- (禮記「奔喪」より)殯に間に合わなければ、まず墓に赴いて哭する。すでに葬儀が終わっている場合の作法(既葬奔喪)も、期間や哭の回数を含めて細かく定められる。
訃報を受けても駆けつけられない場合
- (禮記「奔喪」より)事情により奔喪できない場合は、その場で位(哭礼の場)を設けて哭礼を行う。喪が明けてから帰った場合の作法(除喪後奔喪)も記される。
哭を行う場所の区別
- (禮記「奔喪」より)齊衰の喪は郷(村里)を望んで哭し、大功の喪は門を望んで哭し、小功の喪は門に至って哭し、緦麻の喪はその場に着いてから哭するというように、喪の重さに応じて哭を始める距離が異なる。父方の親族の喪は廟で、母・妻方の親族の喪は寝室で、師の喪は廟門外で、友人の喪は寝門外で、知人の喪は野外に幄を張って哭するなど、哭する場所も続柄によって異なる。
知人の喪への対応
- (禮記「奔喪」より)面識のある者が亡くなった場合は、まずその家で哭してから墓に赴くという順序が定められる。
遠方の兄弟の喪を後から知った場合
- (禮記「奔喪」より)小功以下の軽い喪について、喪が明けたあとで訃報を知った場合は、免(喪の略式標識)を着け、肌脱ぎして哭礼を行い、拝礼の際は左手を上にするなど特殊な作法をとる。
拝礼の作法の階梯
- (禮記「奔喪」より)奔喪してきた者への拝礼は、相手が大夫であれば肌脱ぎして拝したのちに礼服に戻すが、士であれば礼服に戻してから拝する、というように身分により順序が異なる。末尾に、本篇は元来「曲禮」の一部が独立したものであるとの鄭玄の説が付記される。