- 履歴: 人物伝ではなく、郷里で年長者・賢者を敬うために行われた飲酒儀礼「郷飲酒礼」の次第を『儀礼』を主軸に、『礼記』郷飲酒義の関連条文を付して記した篇。
賓の招請と会場設営(儀礼・郷飲酒礼より)
- 主人はまず郷の先生(長老)に相談して賓・介(賓の補佐)を選び、それぞれを丁重に招請する。
- 席・酒樽(両壺、玄酒を含む)・洗(手洗器)を所定の位置に配置し、犬を牲として堂の東北で調理する。
献酬の儀(儀礼・郷飲酒礼より)
- 主人が門外で賓を三揖して迎え入れ、堂に上がる際も三度譲り合う(三揖三譲)作法を踏む。
- 主人が賓に酒を勧め(献)、賓が主人に酌み返し(酢)、主人が賓に酬いる(酬)という一連の献酬礼を、脯醢(干し肉・塩辛)を供えながら執り行う。同様の礼を介・衆賓(一般の来賓)にも及ぼす。
音楽と旅酬(儀礼・郷飲酒礼より)
- 楽人が「鹿鳴」「四牡」等の詩を歌い、笙で「南陔」等を奏し、最後に合楽として「関雎」等を演奏する。
- 司正を立てて酒宴の秩序を保たせ、賓が主人に酬い、主人が介に酬い、以下順に杯を回す旅酬の礼を行う。俎(供物台)を徹した後は「無算爵」(杯数を定めない自由な酒宴)に移り、音楽も無算楽となる。
- 翌日、賓は改めて主人の家へ礼を述べに赴く(拝賜)。
附録・関連条文(礼記・郷飲酒義より)
- 郷飲酒の礼は、尊譲・潔・敬の心を養い、争いや暴乱の禍を遠ざけるための聖人の制度であるとする。
- 賓主の座の方角(賓は西北、介は西南、主人は東南)を天地・四時・陰陽になぞらえて説明する。
- 六十歳以上は坐り五十歳以下は立って給仕することで年長者を敬う制度(三豆・四豆等、年齢に応じた供物の数の違い)を説き、これが孝弟の教化に通じるとする。