- 履歴: 人物伝ではなく、周代の婚礼の儀式次第を『儀礼』士昏礼を主軸に、『礼記』昏義・郊特牲・雑記・曲礼の関連条文を付して記した篇。
六礼の前半(儀礼・士昏礼より)
- 納采:男性側が雁を贈って結婚の意志を伝える。使者を廟門で迎え、儀礼を尽くして取り次ぐ。
- 問名:女性の生母の姓氏を尋ね、占いにかける。
- 納吉:占って吉であったことを雁を贈って伝える。
- 納徴:玄纁(黒と赤の絹)と毛皮を結納として贈り、婚約を確定する。
- 請期:婚礼の日取りを男性側が定め、女性側の承諾を得る形式で伝える。
親迎(儀礼・士昏礼より)
- 当日夕刻、婿は爵弁服を着て車で女性の家へ赴き、廟門で雁を奠じて拝礼し、花嫁を車に乗せて自邸へ導く(親迎)。
- 花嫁の父母はそれぞれ「敬い慎み、朝夕命に違うな」と教訓を与えて送り出す。
婚礼の儀式(共牢・合卺)(儀礼・士昏礼より)
- 婿婦は同じ器の食事を共にし(共牢而食)、一つの瓢箪を二つに割った杯(巹)で酒を酌み交わす(合巹)。これにより夫婦が一体・同尊卑であることを示す。
舅姑への挨拶(儀礼・士昏礼より)
- 翌朝、婦は沐浴して舅姑(夫の父母)に見え、棗・栗・干し肉を捧げて礼を尽くす(見舅姑)。
- 婦は特豚(豚一頭)を用いて舅姑に食事を供する(饋舅姑)。
- 翌々日、舅姑は婦を一献の礼でもてなし(饗婦)、婦は西階から、舅姑は阼階から降りることで代替わりを示す。
- 舅姑が既に亡くなっている場合は、婚礼三か月後に廟に菜(野菜)を奠じて報告する儀式(奠菜・廟見)を行う。
- 親迎を行わなかった場合、婿が三か月後に妻の実家に改めて謁見する作法も記す。
附録・関連条文(礼記より)
- 昏義:昏礼は二つの姓を結び、上は宗廟に仕え下は後世を継ぐためのものであり、慎重・敬虔・正しさを尽くすべきことを説く。夫婦の別があってこそ父子の親・君臣の義が成り立つとし、天子の后の六宮・三夫人・九嬪の制度と天子の外朝の官制を対比させ、天子と后がそれぞれ陽事・陰事を治めることを、日食・月食の際の服喪になぞらえて論じる。
- 郊特牲:昏礼は異姓と結び遠きを親しみ別を厚くするためのものである。男が先に女に求婚するのは剛柔の義に基づく。婦人は父・夫・子に従う(三従)ことを説く。
- 雑記:夫人や妻を離縁する際の作法(使者を立てて丁重に伝える)を記す。