隋唐演義第三十五回 水を楽しむ夕べに大士の奇観あり、清夜の遊びに昭君は涙にむせぶ (樂水夕大士奇觀 清夜遊昭君淚塞)
清夜遊の始まり
夕刻、煬帝と蕭后は華やかな装いで香輿に乗り、宮女の行列を従えて西苑へ夜遊に出る。月光に照らされた御道を練り歩く様は、まるで周の穆王が瑤池へ赴いた故事さながらだと二人は語り合う。
観音・紅孩児の趣向
暢情軒に至ると、花夫人の指図で作り物の山車が現れ、玉面観音と紅孩児に扮した宮女が登場する。煬帝と蕭后は装いの美しさに感心し、正体が朱貴兒と袁寶兒だと知って驚く。煬帝が貴兒の腕に触れようとすると、まだ癒えぬ傷を隠すように貴兒がそれとなく身をかわす。
昭君出塞の趣向と競馬
続いて夏夫人の企画で、薛冶兒が王昭君に扮し、韓俊娥・杳娘・妥娘・雅娘が琵琶を奏でながら騎馬で登場する。袁寶兒や薛冶兒らが馬術の妙技を披露し、馬上で入れ替わる離れ業に一同が驚嘆する。煬帝は褒美を取らせ、蕭后も寶兒に簪を与える。
塞外曲
軒内に酒宴を設け、夏夫人作の「塞外曲」(昭君の心情を詠んだ組曲)が演じられる。哀切な調べに蕭后をはじめ夫人たちが涙し、煬帝も感じ入る。
朱貴兒との誓い
宴の帰り道、煬帝は妥娘から、貴兒が自らの腕の肉を割いて薬に混ぜ、煬帝の病を治したことを初めて知らされる。煬帝は貴兒を自分の馬に乗せ、深く感謝し、佩玉を与えて将来の身の振り方まで案じるが、貴兒は忠義を理由にこれを固辞する。感激した煬帝は来世も夫婦となる誓いを立て、貴兒もまた天に誓いを立てる。
帰路の不穏な出来事
一方、蕭后たちは万花楼で煬帝を待つ間、突然の怪しい風で灯りが消え、不安になって先に宮へ戻ってしまう。戻った煬帝はこれを聞いて訝しみつつ、蕭后の機嫌を気遣い、朱貴兒のもとへは行かず宮中へ引き上げる。