隋唐演義第二十九回 隋煬帝は両院で花を観て、夫人たちは舟を共にして海に遊ぶ (隋煬帝兩院觀花 眾夫人同舟游海)
新たな才媛の募集
侯夫人を悼み続ける煬帝を見かねた蕭后は、後宮に才芸ある者を広く募るよう勧める。煬帝はこれに従い、詩文・書画・歌舞などに秀でた宮女を顯仁宮に召して披露させ、百余名を美人・才人として西苑に配する。
袁紫煙の登用
その中に一人、芸を見せず佇む女がいた。名は袁紫煙、江西貴溪の出で、幼い頃老尼から天文・星占の術を授かったという。煬帝は驚き、彼女を貴人に封じて女司天監に任じ、宮中に観天台を築かせる。
星占と赤気の予言
その夜、煬帝は紫煙と月台に上り天象を観る。紫煙は三垣・二十八宿の仕組みを説き、帝星が揺れ動くのは天子の遊興の兆しと語る。紫微垣の暗さを問われた紫煙は、国運の衰えを暗示すると答えつつも、徳を修めれば挽回できると諭す。折しも西北に龍のごとき赤気が立ち上るのを見た紫煙は、これを天子の気であり、太原の地に異人がいる兆しだと告げ、老尼から授かった「虎頭牛尾、刀兵亂起、誰為君王、木之子」という偈(木子=李の字を暗示)を語る。煬帝は不安を覚えつつも、その夜は紫煙と共に過ごす。
玉李と楊梅の開花
翌日、明霞院の玉李、晨光院の楊梅がそれぞれ一夜にして満開になったとの報告が入る。「李」の字を気にした煬帝は玉李を見て不吉と感じ伐採を命じようとするが、蕭后や紫煙が天の瑞祥だと諫め、酒を供えることで収める。楊梅を上と持ち上げる蕭后の言葉に煬帝も機嫌を直す。
北海遊覧と角のある鯉
一同は五湖から北海へと舟を進め、三神山のふもとで一尾の巨大な鯉に出会う。額に「解」の字が残るこの魚は、かつて煬帝が太液池で「解生」と記して放した魚だと分かる。紫煙は角の生えた魚を早く除くよう勧め、煬帝は矢を放つが、魚は逃れ、代わりに海が荒れて一同はずぶ濡れになる。紫煙は太液混天球という宝珠でこれを鎮める。
李淵の登用と美人・袁寶兒
岸に戻ると、辺境で盗賊が蜂起しているとの上奏と、衛尉少卿・李淵を弘化郡留守に推挙する上奏が届く。煬帝は李淵の「李」姓に一抹の不安を覚えつつも裁可する。続いて長安令が献上した美人・袁寶兒(十五歳)が召され、煬帝はその愛らしさに満足し美人に封じ、寵愛する。
美人たちの戯れ
ある日、煬帝の昼寝の間に袁寶兒は朱貴兒・韓俊娥・杳娘・妥娘らと連れ立ち、鬥草や鞦韆を思案するが、結局は後院で歌舞の稽古をして遊ぶことにする。