隋唐演義第十六回 報徳祠で恩に報い塑像を建て、西明巷で衣を替え夫に従う (報德祠酬恩塑像  西明巷易服從夫)

報徳祠での発見

  • 秦瓊、王伯当、斉国遠、李如珪の四人は、寺の月台に座す紫衣の若者が現に修築を進める李淵の子婿・柴嗣昌だと知る。境内の「報徳祠」には、恩人として「瓊五」なる人物の生き位牌が祀られており、黄驃馬と金鐧を携えた像まで作られていた。秦瓊は、かつて楂樹崗で李淵に名を聞き違えられたまま去った本人が自分だと気づき、驚き恥じ入る。
  • 柴嗣昌はこれを知って大いに喜び、一行を手厚くもてなし、太原の李淵へ知らせの使者を出す。

長安入りと灯節

  • 元宵節を前に、秦瓊は壽礼を届ける公務のため一足先に長安の楊素邸へ向かう。柴嗣昌も便乗して同行し、一行は長安近郊の陶家店に投宿する。

楊素の後宮解放と紅払・李靖の出会い

  • 場面は転じ、宰相楊素が権勢を誇る様子と、かつて後宮の女性たちに「望む者は自由に嫁がせる」と申し出た逸話が語られる。その際、執払(払子持ち)の美女・張出塵(のちの紅払女)だけが「府に留まりたい」と願い出て女官として残っていた。
  • 長安に来た李靖(薬師)は楊素の壽宴に趣意書を捧げに来て、待合所で秦瓊と偶然出会い、意気投合する。李靖は楊素に謁見し、その傲慢さを諫めて評価される。この時、張出塵は密かに李靖に心を寄せる。

紅払女、夜に李靖を訪ねる

  • 秦瓊は壽礼を届けた後、李密(玄邃)と再会し、旧交を温める。その足で李靖の宿を訪ねると、李靖から「近く長安で兵乱の兆しがある」と忠告を受ける。
  • その夜、張出塵は男装して兵符を偽り、李靖の宿を訪ねる。楊素の意を受けて縁組の使者を装うが、実は自ら身を委ねる決意を語る。折しも隣室の豪傑・虬髯客(張仲堅)が現れ、事情を悟って二人の仲を取り持つ。三人は義理の縁を結び、張出塵は李靖に嫁ぐことを決め、その夜のうちに馬を得て共に長安を去る。
  • 翌日、楊素は張出塵が姿を消したことに気づくが、置き手紙を読んで李靖への嫁入りを悟り、咎めずに黙認する。