隋唐演義第六回 五花陣で柴嗣昌は山寺で縁談を定め、財布尽きた秦叔宝は窮途に落ちぶれる (五花陣柴嗣昌山寺定姻  一蹇囊秦叔寶窮途落魄)

唐公の娘と縁談

  • 竇夫人と李淵の一人娘は文よりも武を好む十六歳の娘で、唐公夫婦は並の男には嫁がせまいと相手を選びかねていた。永福寺での逗留中、唐公は退屈しのぎに境内を歩き、住持五空の案内で見事な対句を目にする。それを書いたのは汾河の柴紹(字は嗣昌)という青年だと知る。

柴嗣昌との出会いと縁談の申し出

  • 夜、月見に出た唐公は、柴嗣昌が孫呉の兵法書を読み、剣舞をする姿をひそかに見て感嘆する。「文武兼備のこの若者こそ娘の婿にふさわしい」と考え、住持を仲立ちに柴嗣昌を呼び出し対面する。柴嗣昌は謙虚に応対し、唐公はますます気に入る。
  • 唐公は竇夫人に相談するが、夫人は「娘の意向をまず確かめるべきだ」と述べ、娘に話を伝える。娘は「才貌だけでは乱世を乗り切れない、実際の武芸を試したい」と考え、乳母許氏の入れ知恵で柴嗣昌に夜の「五花陣」突破の試練を課すことにする。

五花陣の試練

  • 夜更け、柴嗣昌は許氏に導かれ、侍女たちが扮する長蛇陣・五花陣を見せられ、これを見破って陣中に斬り込む。侍女たちの妨害を受けながらも奮闘し、最後は従者柴豹の花火の助けもあって窮地を脱する。矢文で放たれた飾り矢に彩珠が結ばれているのを見つけ、陣の向こうに佳人がいたことを知る。
  • 翌朝、住持を通じて唐公から正式に婚約の申し入れがあり、柴嗣昌はこれを受け入れる。後に太原で正式に婚礼を挙げ、後年唐挙兵の際には柴紹夫妻が「娘子軍」を率いることになる伏線が語られる。

秦叔寶、潞州で困窮する

  • 場面は転じ、秦瓊(叔寶)が潞州の宿「太原王店」で刺史蔡氏の帰任を待つ。護送の同僚樊建威(建威)とは澤州で別れ、旅費は誤って建威の荷物にまとめて入ったまま持ち去られてしまう。
  • 宿の主人王小二は最初は愛想よく接するが、蔡刺史の帰任が長引くうちに秦瓊が飯代を払えないと知り、態度が急に冷淡になる。秦瓊は手持ちの銀(母が絹を買うため持たせた分)で一部を支払うが、なお不足したまま足止めされ、困窮していく様子が語られる。