東周列國志第七十三回 伍子胥が簫を吹き呉の市で乞い、専諸が炙り肉を進め王僚を刺す (伍員吹簫乞吳市 專諸進炙刺王僚)
漁丈人の自死
- 伍員は去り際に「秘密を漏らさぬように」と念を押したことが老漁師の誇りを傷つけ、老人は疑いを晴らすために自ら舟を転覆させて入水する。伍員は深く嘆いた。
溧陽の女の献身
- 逃避行の途中、飢えた伍員は川辺で洗濯する娘から食を乞う。娘は快く食事を与えるが、独身の身で見知らぬ男と言葉を交わしたことを恥じ、伍員が去った後に石を抱いて入水する。伍員は指を噛んで血で石に礼の言葉を刻んだ。
専諸との出会い
- 呉趨の地で怪力の勇士・専諸と出会う。専諸は母への孝行深く、母の一声で激しい喧嘩も収める人物であった。伍員はその義に感じ、義兄弟の契りを結ぶ。専諸は「公子光を頼るとよい」と助言する。
呉市での乞食と出仕
- 伍員は勝を連れて呉の都に入り、簫を吹きながら乞食をして身をやつす。呉市吏の被離がその声に非凡さを見抜いて引見し、王僚に推挙。王僚は伍員を大夫に取り立て、復讐の兵を約束する。
公子光の思惑
- 公子光は伍員が王僚に近づくことを警戒し、「匹夫の恨みのために国を挙げて兵を出すべきではない」と諫めて出兵を止めさせる。伍員はこれを見て公子光に王位への野心があると悟り、大夫の職を辞す。
- 公子光は密かに伍員に接近し、専諸を紹介される。専諸は公子光の意(王僚弑逆の計画)を知り、まず王僚の好物である魚料理の腕を磨くため三月にわたり修行する。
周室の内乱(挿話)
- 同じ頃、周の景王が没し、王子猛・匄・朝の間で継承争いが起こる。晋の介入によって最終的に敬王(匄)が立ち、争いに敗れた子朝は楚へ亡命する。
雞父の戦い
- 楚の太子建の母を鄖から奪還しようとする呉と、これを阻む楚との間で雞父の戦いが起こる。公子光の献策により、烏合の衆であった陳・胡・沈・頓・許・蔡の連合軍を各個撃破し、呉軍が大勝。楚将薳越は敗戦の責を負って自刎する。
- 楚は令尹に囊瓦を立て、新たに郢の外郭(紀南城・麦城)を築くが、沈尹戍はこれを「徳を修めぬ空しい普請」と評した。
楚昭王の即位
- 楚平王が没し、幼い太子珍が昭王として即位。費無極らが実権を握り続ける。伍員は平王の死を聞いて、自ら手にかけられなかったことを悔やんで慟哭した。
専諸暗殺計画と王僚弑殺
- 伍員は公子光に、王僚の側近である弟の掩餘・燭庸、勇士慶忌を遠ざける策(楚への出兵・鄭衛への使い・晋への使者)を授け、王僚の守りを空にする。
- 専諸は魚料理の名手として王僚を宴席に招き、料理に仕込んだ「魚腸の剣」で王僚を刺殺。専諸自身もその場で討ち死にする。専諸の母は事前に、我が子の決断の妨げにならぬよう自ら命を絶っていた。
闔閭の即位
- 公子光は王僚誅殺の正当性を国中に布告し、専諸の子を厚遇する。季札が帰国すると、光は王位を譲ろうとするが、季札は固辞して延陵に隠棲し続けた。光は即位して闔閭と号する。
掩餘・燭庸の逃亡
- 楚に出兵していた掩餘・燭庸は、王僚弑逆の報を聞いて帰る場所を失い、それぞれ徐・鍾吾へ逃亡する。楚の郤宛はこの機に乗じた呉討伐を義に反すると退け、昭王に重用される。これを費無極が妬み、新たな謀略を企てる。