東周列國志第四十五回 晋襄公が喪服のまま秦を破り、先軫が冑を脱ぎ狄との戦いに殉じる (晉襄公墨縗敗秦  先元帥免冑殉翟)

先軫、秦への追撃を主張

中軍元帥の先軫は、秦が鄭を襲った不義を怒り、喪中を理由に反対する欒枝・趙衰らを説き伏せ、晋襄公に秦軍への奇襲を進言する。先軫は秦軍の帰路が崤山の険路を通ることを見抜き、先且居・胥嬰・狐射姑・梁弘ら諸将に伏兵の配置を命じる。

崤山での秦軍壊滅

滑国を滅ぼして凱旋する秦の孟明視・西乞術・白乙丙の三帥は、崤山の険路で油断し隊列を乱す。先鋒の猛将・褒蠻子は晋将・萊駒を退けて先へ進むが陥穽にかかり捕らわれる。孟明ら本隊も晋の伏兵に前後を塞がれ、火攻めと包囲を受けて全軍が捕虜となる(詩:秦軍の全滅を悼む一首)。

三帥の処遇と褒蠻子の最期

晋襄公は三帥を捕らえるが、褒蠻子は縄目を引きちぎるほどの剛力を見せ、小校の狼曋が機転で討ち取る。襄公はその働きを賞し、狼曋を車右に取り立てる。狼曋は先軫に礼を尽くさず出仕したため、先軫の心証を損ねる。

文嬴の説得と先軫の激怒

晋襄公の母・文嬴(秦出身)は、秦との旧誼を理由に三帥の助命と釈放を襄公に説く。襄公はこれを容れて三帥を秦へ帰す。先軫は激怒し、婦人の一言で虎を野に放ったと襄公を面と向かって責める(詩:先軫の直言と襄公の器量を称える一首)。

陽処父の追跡失敗

襄公は陽処父に三帥の追跡を命じるが、孟明はすでに黄河を渡っており、名馬の贈り物で誘い出そうとする計略も見破られ失敗に終わる。孟明は三年後の再戦を宣言して秦へ去る。

秦穆公、三帥を厚遇

秦穆公は敗戦の責を自らに帰し、三帥を咎めず郊外まで出迎えて手厚く遇する。百里奚は引退を願い出て後進に道を譲る。

翟の侵攻と先軫の出陣

翟の白部胡が晋の喪に乗じて箕城に侵入する。先軫は自らの無礼を恥じて辞任を願うが、襄公に慰留され、やむなく出陣する。

狼曋の罷免と再起の誓い

先鋒を志願した狼曋は先軫に功を鼻にかけたと叱責され罷免される。友人の鮮伯が先軫殺害を持ちかけるが、狼曋は不義の死を拒み、いずれ功で汚名をそそぐと答える(詩:狼曋の忠勇と不遇を惜しむ一首)。

箕の戦いと白部胡の死

先軫は大谷に伏兵を敷いて翟軍を誘い込み、郤缺の矢が翟主・白部胡を射抜いて討ち取る。

先軫、単騎で翟陣に討ち入り戦死

先軫は自らの無礼を君の代わりに贖うため、単騎で翟の陣に突入し、白部胡の弟・白暾の軍に囲まれながらも奮戦し、あえて甲を脱いで矢を受け壮絶な最期を遂げる。屍は倒れず、白暾は畏怖して晋への返還を誓う。