鐵冠圖全傳第四十三回 崇禎煤山に縊れ位に殉じ、宮人李岩を刺し仇に報ゆ (縊煤山大行返位 刺李岩宮人報仇)

崇禎帝、煤山にて自縊

  • 塀を越えようとする帝を王承恩が押しとどめ、様子を見に行かせるが、四方すでに賊兵に囲まれ逃げ場がないと知る。
  • 帝は覚悟を決め、王承恩を再び偵察に出させる。王承恩はその間に帝が自ら命を絶つであろうことを察し、あえて時をかけて戻ると、案の定、帝は自縊していた。王承恩も松の木の下で後を追って首をくくった。

血書の発見と李自成の対応

  • 賊兵が遺体を発見し、指を噛み切って書いた血の詩と、「朕の屍を壊すな、陵墓を毀すな、官を留めるな、民を害するな」との遺言を見つける。
  • 報告を受けた李闖(李自成)は崇禎帝を「愛民の賢君」と称え、遺志に従って民を害さず、売国の奸臣・汚吏のみを厳しく罰するよう命じた。

高時明の殉死

  • 先に公主を助け出していた宦官の高時明は、帝の亡骸を見て慟哭し、王承恩の亡骸の傍らで「自分も高時明として恥じぬ最期を遂げる」と誓い、石に頭を打ちつけて自害した。

周奎の末路

  • 売国奸臣・汚吏への処罰が始まり、皇親の周奎は特に苛烈な仕打ちを受けた。李岩が周奎の屋敷を奪い、「公主」(実は宮女の費貴貞)と暮らそうとしていたためである。
  • 周奎は数百万の家財を差し出すも許されず、費貴貞は周奎への恨みから助命を拒む一言を発し、周奎は拷問の末に落命、屋敷は李岩と「公主」の住まいとなった。

費貴貞の復讐

  • 婚礼の夜、費貴貞は李岩を酔わせて眠らせ、隠し持っていた刃で刺し殺す。
  • 自らの死が「本物の公主が賊に汚された」と誤解されることを恐れ、壁に「自分は宮女・費貴貞であり、賊を刺したのは節義のためだ」と詩を書き残し、自刎して果てた。

崇禎帝の遺骸弔いを願う忠臣たち

  • 翌日、李岩と「公主」の死が発覚し、事情を知った李闖は費貴貞の忠烈を惜しみ、二人を丁重に棺に納めさせた。周奎ら奸臣とは違い、烈女の遺骸は辱められずに済んだ。
  • 一方、崇禎帝の遺骸はまだ弔われていなかった。西江米巷の戦いに敗れて雙塔寺に潜んでいた李国楨は、翰林の周鳳翔・尚衣監の王徳茂とともに帝の自縊を知って痛哭し、三人で李闖のもとへ赴き、帝の遺骸を弔うよう哀願する。
  • 李闖は李国楨に帰順を勧めるが、李国楨は「本心から帰順するなら三つの条件を呑んでもらいたい」と切り出す。