鐵冠圖全傳第四十一回 李国楨力尽くすも防ぎ難く、崇禎帝意を決し宮女を散ず (李國楨竭力難堵 崇禎帝有志散宮)

平則門開放、賊軍城内へ

  • 宋炯が令旗を振って合図し、平則門が開かれると、闖賊の軍勢が一気に城内へなだれ込んだ。守る官兵はなす術もなく散り散りに逃げ隠れた。
  • 節義を守ろうとする者や烈女たちは、毒を仰いだり自刎したり、井戸に身を投げたり首を吊ったりして命を絶ち、その数は数えきれなかった。

李國楨の急報と崇禎帝の動揺

  • 城壁で防戦していた李國楨は、平則門が破られたとの報に驚愕。内通者がいると悟り、家将を走らせて司礼監の王承恩へ急報し、帝の避難を促させた。
  • 王承恩から報告を受けた帝は、文武百官が誰も国のために働かないことを嘆きつつ、脱出を決意する。

皇后の自害と公主への一撃

  • 帝は一旦後宮に戻り、周皇后に別れを告げる。皇后は「万民の母として殉国するのが道理」と述べ、太子・公主の制止を振り切って自ら首をくくった。
  • 太子・公主が泣き縋るのを見た帝は、太子は男子ゆえ逃げ延びる望みもあろうが、公主は連れて行けず残せば禍のもとになると思い、剣を抜いて公主の左腕を斬りつけた。手が震えてそれ以上は手にかけられなかった。
  • そこへ、李國楨が西江米巷で賊将高迎祥・陳永福を討ち取ったものの多勢に敗れたとの報が入り、帝は宮女・宦官らに各自逃げるよう命じて宮殿を出た。

王承恩と公主の脱出手配

  • 王承恩は傷を負った公主を見つけ、宦官の高時明に託して安全な場所へ避難させる。
  • その後、帝と合流した王承恩は、帝に従い太廟へ参り、歴代の祖先の位牌に別れを告げた。帝は祖業を失う無念を語り、祖宗に合わせる顔がないと涙した。

「宮殿を残す」の壁書

  • 帝は、賊が太廟を焼くことを恐れつつも、自ら宮殿・倉庫を焼けば賊が空城に怒って民を殺すだろうと考え直し、壁に「朕與你留宮殿、你與朕留太廟。朕與你留倉庫、你與朕留百姓」(宮殿を賊に残す代わりに太廟は焼くな、倉庫を残す代わりに民を殺すな)との四句を書き残した。
  • 李自成に向けて「この言葉に従うなら、朕は死んでも本望だ」と叫び、迫る喊声を聞いて太廟を後にした。

単身での彷徨

  • 王承恩に導かれ東掖門へ向かう途中、逃げ惑う群衆に賊と誤認して逃げ出した拍子に、帝と王承恩ははぐれてしまう。
  • 帝は転倒して帽子を失い、髪を振り乱したまま小南門・正南門・東門と巡るが、いずれも門が固く閉ざされ出られない。
  • 疲れ果てて道端に座り込み、王承恩の行方を案じつつ、もはやこの場で最期を迎えるほかないかと嘆いていたところ、北から南へ慌ただしく走ってくる人影を見つける。