鐵冠圖全傳第十五回 宋炯計を設け分龍会を開き、李闖老曹操と結ぶ (宋炯計設分龍會 李闖伙並老曹操)

黄河決壊と汴梁陥落

  • 黄河の水が汴梁城内に流れ込み、数十万の住民が溺死する惨事となった。陳永福は巡撫の拙策を諫めたが聞き入れられず、あらかじめ竹排・木筏を用意させ、家人を城外へ逃していた。
  • 黄河北岸にいた李闖はこの凶報を聞き、一箭の恨みが晴れたと喜び、軍師宋炯・丞相牛金星の妙計を称賛した。宋炯は乗じて河南諸府を攻略するよう勧めた。

帰徳府での搾取

  • 賊軍はまず帰徳府城を占拠。飢饉で府庫の米は乏しく、李闖は略奪を命じようとしたが、宋炯は「ここは自分の故郷なので体面を保ちたい」と申し出、郷紳・財主から多額の献金を集めて李闖に差し出し、略奪を免れさせた。

張献忠との駆け引き

  • その後、李闖軍は流民数十万を吸収して勢力を拡大したが、湖広の張献忠が羅汝才・賀一龍と三方から河南へ進出してきたとの報が入り、李闖は恐れて陝西へ退却しようとする。牛金星と宋炯はこれを諫め、孟津に「分龍大会」を設けて張献忠を招き、隙を見て制する策を献じた。
  • 張献忠は左良玉に大敗した後、羅汝才の陣営に身を寄せ、義父として仕えていた。襄陽・隕陽・南京付近を転戦して勢力を三十万にまで回復し、河南で羅汝才と合流して汴梁・帰徳への侵攻をうかがっていた。
  • 李闖は牛金星の入れ知恵で、へりくだって張献忠を分龍会に招くことに成功する。

分龍会の企み

  • 会の席で、宋炯は「分龍大会」の額の意味を、張献忠を真龍、李闖を仮龍と偽って説明し、機嫌を取った。張献忠が占いを求めると、宋炯は「今日の席で器物を破る者があれば帝位が阻まれる」という卦を告げる。
  • 張献忠は席上での器物破損を厳禁したが、賀一龍の杯(実は宋炯が仕組んで熱くしておいたもの)が落ちて割れると激怒し、その場で賀一龍を斬り殺してしまう。
  • 折しも左良玉が湖広の本拠を突く報が入り、張献忠は兵を分けて一部を河南に残し、自らは湖広へ戻った。

羅汝才・賀一龍旧部の併呑

  • 宋炯は賀一龍の死が自らの策略によるものであることを明かし、続けて牛金星に賀一龍の旧部と結ばせて羅汝才への恨みを煽った。さらに洪承疇の三辺調任、周遇吉・白凱の昇進の報が入り、李闖は陝西へ引き返す必要に迫られる。
  • 宋炯の献策により、羅汝才らを酒宴に招いて毒酒で謀殺し、賀一龍の旧将を招降。李闖軍は一気に数十万を加え、九条龍鍾進、掃天王許興邦ら十人の頭目を新たに得て勢いを増した。
  • 李闖は三十万の兵を率いて陝西へ進撃。一部を義子李双喜に預けて黄陂県を攻めさせ、自らは二十万を率いて西安を目指す。西安は代々福王が鎮守する要地であり、王は急報を朝廷に送った。