鐵冠圖全傳第三十回 両総鎮王章を目せず、一閣臣戯れに軍を任さる (兩總鎮目無王章 一閣臣戲任軍旅)
陳永福、囚車を奪い返す
- 閻如玉(閻公子)の献策により、陳爺(陳永福)は黄得功が囚人を横取りし手柄を偽ったことを上奏しようとしたが、東廠の太監が黄得功に買収されることを恐れ、まず鮑游撃に命じて囚車を奪い返させた。
- 鮑永忠は成功し、囚車を都へ護送した。
冤罪と陳永福の危機
- 李闖は間諜を通じて陳・黄両軍の手柄争いの奏本が同時に都へ届いたことを知る。皇帝は刑部に賊の口供を調べさせた。
- 刑部主事・王文(黄得功配下で殺された王傑の子)は父の仇を討とうと、囚人の史金剛を買収し、「黄総兵が捕らえたのを陳総兵が奪った」と偽証させた。
- この供述により皇帝は激怒し、江南総兵・黄得功らに陳永福の捕縛・処刑を命じた。
陳永福の降伏
- 李闖は宋炯の進言により、陳永福を招降する使者(牛金星・苗人鳳ら)を送った。
- 陳永福は使者・苗人鳳を斬ろうとしたところへ、朝廷から「通賊の疑いで捕縛せよ」との命が届いたとの報が入り、諸将は動揺し降伏を勧めた。
- 閻公子は、外祖父(陳永福)が賊に降れば家名を汚し、逆らえば無実の罪で死ぬことになると嘆き、自刃しようとしたが止められ、そのまま出奔して父を捜しに広東へ向かった。
- 陳永福はついに旗を大順に改め、黄河を渡って李闖軍に合流した。黄得功らは追撃したが及ばず、事の次第を都へ急報した。
李建太、軍資を借り出兵する
- 皇帝は賊の脅威に対し、閣臣・李建太の進言で自ら親征する代わりに、まず群臣から軍資を借り上げることとした。
- 李建太は諸大臣・王公貴族を集めて借財を求めたが、皆貧困を口実に渋った。李建太が厳しく諭すと、渋々応じ、結局二十余万両が集まった。
- 李建太は兵部に命じて八万七千余の兵を募ったが、軍事に疎い彼は見た目の立派さだけで満足し、実際には烏合の衆であった。
- 皇帝は喜んで上方宝剣を授け、李建太を天下招討兵馬大元帥に任じ、盛大に出征させた。皇帝は李建太の勝利を確信していた。