鐵冠圖全傳第三十五回 左良玉糧を奪い心を喪い、黄得功勤王も効なし (左良玉奪糧喪心 黃得功勤王無濟)

糧秣を奪う左良玉

  • 黃得功は彰徳府に三日分の兵糧を催促し、各県が供出を始める。これを知った河南総鎮・左良玉は、自軍の食糧不足への不満と、かつて黃得功に陳永福を追い詰められた恨みから、彰徳府の糧草を横取りして自陣に運び込ませる。

姜憲の仲裁と左良玉の見せかけの和議

  • 待てど届かぬ糧草に激怒した黃得功は左良玉と一戦交えようとするが、軍師・姜憲が、勅命なき私闘は勤王の大義を損なうと諫め、和議による糧草折半を提案。姜憲は左良玉のもとへ赴き交渉する。
  • 左良玉は内心、李自成討伐後の朝廷での束縛を嫌い、様子見を決め込む。表向きは兵馬大元帥・李建太の指図を仰いでからと言を左右にし、糧は融通すると約束するだけで引き延ばす。

李建太の勤王禁令

  • 姜憲の勧めで、黃得功は黒山寨の残党を討って糧を得るが、その間に左良玉は密かに李建太へ使者を送り、諸将の封疆離脱を禁じる軍令を出させる。手柄を独占したい李建太はこれに乗じ、黃得功・左良玉に進軍禁止を命じる。

黃得功、忸怩たる撤兵

  • 軍令に激怒した黃得功は一度は抗命して北京へ向かおうとするが、姜憲に、抗命すれば忠義ではなく反逆と見なされかねないと説得され、自刃しかけたところを止められる。
  • やむなく撤兵し、以後は地方の賊討伐に専念する。後年、黃得功は弘光帝を支えて忠義を尽くし名を残す一方、李建太は無能のまま国を誤り悲惨な末路をたどることになる。
  • 李建太の思惑どおり援軍が離れたことで、南下する李岩ら流賊は諸城を破りながら北上を続け、ついに保定府を包囲・攻撃。城は陥落し、李建太は狼狽して椅子ごと倒れ込む。