宋史卷六十九 律厯志第二十二 應天・乾元・儀天暦

歩月離(月の運行)

  • 離総は55,120秒1,242(乾元の転分は16,200秒1,204、儀天の暦終分は278,301秒165)。
  • 転日は27、5,546秒6,210(乾元の転暦は27、1,630秒6,020、儀天の暦周は27、5,601秒165)。
  • 暦中日は13、7,774秒3,105(乾元はこの法を立てない。儀天の暦中は13日7,850秒5,082半。儀天にはさらに象限6日8,975秒3,541少という法がある)。
  • 朔差日は1、9,762秒3,790(乾元の転差日は1、3,869秒3,980。儀天の会差日は1、9,857秒9,835。儀天にはさらに象差日0、4,980秒4,958太、望182度6,344秒4,950という法がある)。
  • 度母は10,100。秒法は10,000(二暦同じ)。
  • 求天正十一月朔入先後暦(乾元は月離入暦を求める・弦望入暦を求めるといい、儀天は天正経朔入暦を推すという)の法:通余を元積から減じ、余りを離総で去って総数とし、去りきれない分を半分にして位を進め元法で収めて日とし、満たない分を分とする。暦中日以下は入先暦、以上は去って入後暦とし、日を数えて天正十一月朔の入先後暦の日分を得る。7日3,827分秒6を順次加え暦中日及び分秒に満てば去り、次の朔望の入先後暦日分を得る。
  • 先後(乾元は入転という)・離分(乾元は離度という)・積度(乾元は離差という)・損益率(乾元同じ)・先後積(乾元は陰陽差という)の立成表(原本には数値の表が掲げられる)。
  • 七日の初数は8,888(乾元は初2,612)、末数は1,114(乾元は末328)。十四日の初数は7,774(乾元は初2,285)、末数は2,228(乾元は末655。乾元にはさらに二十一日の初1,958・末982、二十八日の初1,632・末1,309という値がある)。
  • 儀天独自の法として、遅疾限日・暦衰・暦定分・暦定度・暦積度・損益率・昇平積の立成表がある。
  • 月離先後度数(乾元は月離陰陽差、儀天は朔弦望昇平定数を求めるという)の法:月朔弦望入暦の先後分を元法から通して減じ、余りを位を進めてその日の損益率で展じ元法で収めて分とし、損益した次日下の先後積を定数とする。七日・十四日で初数以下のものは返して減じ、以上のものは去って余りを末数から返して減じ、いずれも位を進めて損益率で展じ末数に満てば分とし、損益した次日下の先後積を定数とする。
  • 朔弦望定日の法:日躔・月離の先後定数を先に加え後に減じて朔弦望中日とし定日とする(二暦とも法は同じ)。
  • 推定朔弦望日辰七直の法:天正の盈日を定積に加え(朔弦望の中日が大雪・小雪の気に入れば去年の天正盈日分を加え、冬至の気に入れば今年の天正盈日分を加える)、日が満76で去り、去りきれない分を金星甲子から数えて定朔弦望の日辰星直を得る。朔の干名が後の朔と同じであれば大の月、異なれば小の月とし、中気のない月を閏とする。また朔の入る辰分をみな二分と互いに減じ、余り2を収めて8分の6を減じ、その朔の定小余がこれ以上であれば1日進める(ただし交正が見える朔は進めない)。定望の小余が日出分以下であれば1日退ける。虧初が辰分以下である場合も同様とする(二暦とも法は同じ)。
  • 九道宿度(乾元・儀天ではいずれも月行九道という):合朔の交わるところが冬は陰暦、夏は陽暦にあれば月は青道を行き(冬至・夏至後は青道の半交が春分の宿にあり黄道の東に出、立夏・立冬後は半交が立春の宿にあり黄道の東南に出る。衝の宿でも同様)、冬は陽暦、夏は陰暦にあれば月は白道を行き(冬至・夏至後は半交が秋分の宿にあり黄道の西に出、立冬・立夏後は半交が立秋の宿にあり黄道の西北に出る)、春は陽暦、秋は陰暦にあれば月は朱道を行き(春分・秋分後は半交が夏至の宿にあり黄道の南に出、立春・立秋後は半交が立夏の宿にあり黄道の西南に出る)、春は陰暦、秋は陽暦にあれば月は黒道を行く(春分・秋分後は半交が冬至の宿にあり黄道の北に出、立春・立秋後は半交が立冬の宿にあり黄道の東北に出る)。四季の月離は八節・九道により斜正が異なり、入るところの七十二候はみな黄道と相会する。それぞれ交初の黄道宿度から5度ごとに限とし、初限12、限ごとに半減し9限で減じ尽くし距二立の宿から1度弱を減じ、以後は半交に至るまで黄道から6度去り、さらに12から限ごとに半減し9限で1度弱を減じ、また限ごとに半増し9限で12に至り日軌と相会する。交初・交中・半交それぞれ限数を用い、半交は倍にして限度を乗じ汎差とする。交中前後各9限は距二至の宿の前後候数を乗じ、半交前後各9限は距二分の宿の前後候数を乗じ、百で除して黄道差とする。冬至の宿の後、交初の前後各9限は減、交中の前後各9限は加とし、夏至の宿の後、交初の前後各9限は加、交中の前後各9限は減とする。おおむね月が交後にあれば黄道外に出、交中後にあれば黄道内に入る。半交の前後各9限は春分の宿の後は黄道外に出、秋分の宿の後は黄道内に入りみな差を加とし、春分の宿の後に黄道内に入り秋分の宿の後に黄道外に出るものはみな差を減とする。汎差を倍にして退位し(減の場合は身外に3を除き、加の場合は身外に1を除く)、黄道差を減じて赤道差とし、交初・交中の前後各9限は差を加え、半交の前後各9限は差を減じ、黄赤道差を黄道宿度から減じて九道宿度とする(乾元・儀天は初数・限数の設定が異なるが趣旨は同じ)。
  • 求九道朔月度の法:月離の先後定数を百分の一にし、後は加え先は減じて42とし、中盈から減じて朔日に従わせ交初九道宿次に加えれば求める値が得られる。
  • 求九道望月度(儀天は「定朔望加時日月度を求める」という)の法:象積を朔九道月度に加え、その道に命じれば求める値が得られる。
  • 求晨昏月(乾元は月離晨昏度、儀天は晨昏月度を求めるという)の法:後暦七日下の離分とその日の離分を比較し、多い方を朔望定分に乗じ、少ない方を晨昏分に乗じ、いずれも元法に満てば分とし百で除して度分とし、これを互いに減じる(朔望の度が多ければ後、少なければ前とする)。それぞれ晨昏前後度分を得て前は加え後は減じて朔望九道月度に加え晨昏月とする。
  • 晨昏象積(儀天は晨昏程積度を求めるという)の法:加時象積に前象の前後度を前は減じ後は加え、また後象の前後度を前は加え後は減じれば求める値が得られる。
  • 求毎日晨昏月(儀天は毎日入暦定度を求めるという)の法:距後象の離分を累計し百で除して度分とし、晨昏象積から減じて加とし(不足すれば返して減じる)、距後象の日数で除して日差とし、毎日離分に加減して百で除して度分とし、晨昏月に累加してその九道宿次に命じれば求める値が得られる。

歩晷漏(日影と漏刻)

  • 求毎日晷景去極度・晨分の法:気数を互いに減じて分とし、雨水後は法16、霜降後は法15として分を除し気中率とする。二率を互いに減じて合差とし半分にして中率の加減とする初末率とする(前が多ければ加えて初、減じて末とし、前が少なければ減じて初、加えて末とする)。また合差を法で除して日差とし(後が多ければ初率に日々益し、後が少なければ初率から日々減じる)毎日の損益率とし、その数を累積して諸気の初数を得る(乾元も法は同じ)。
  • 求昏分の法:元法から晨分を減じて昏分とする(乾元は元率、儀天は宗法という)。
  • 求毎日距中度の法:百に晨分を乗じ2,738で除して度とし、去りきれない分を退いて距子度とし、半周天度から減じて距中星度分とする。距子度分を倍にし5等に分けて毎更の度分を得る。
  • 求毎日昏明中星の法:その日の赤道日躔宿次に距南度分を加えて命じればその日の昏中星が得られ、距子度分を加えれば夜半中星、さらに加えれば暁中星が得られる(二暦とも法は同じ)。
  • 求五更中星の法:昏中星を初更中星とし毎更度分を加えて二更初中星を得、さらに加えて三更初中星を得、順次加えて五更初中星の所臨を得る(二暦とも法は同じ)。
  • 求日出入時刻(乾元は昼夜出入辰刻、儀天は日出入晨刻及び分を求めるという)の法:250に晨分を加え昏分を減じて出入分とし、833半で除して時とし、満たない分を刻分とすれば求める値が得られる。
  • 昼夜分(乾元は昼夜刻、儀天は毎日夜半定漏・毎日昼夜刻を求めるという)の法:日出分を倍にして夜分とし、元法から減じて昼分とし、百分の一にして昼夜分とする。
  • 更籌(乾元は更点差分という)の法:晨分を倍にし5で収めて更差とし、さらに5で収めて籌差とする。

歩晷漏(附・立成の定数)

  • 冬至後初・夏至後次の象は88日、小余8,899半、約余8,811分。夏至後初・冬至後次の象は93日、小余7,485半、約余7,412分。前限は188日、小余6,285、約余6,222太。辰法は841と3分の2。刻法は101分。辰は8刻33と3分の2分。昏明は252分半。冬至後上限は59日、下限は123日、小余6,285、約余6,222太。中晷は1丈2尺7寸1分半。冬至後上差・夏至後下差は2,130分。昇法は156,428分。冬至後下差・夏至後上差は4,812分。平法は177,003分。夏至後上限は冬至後下限に同じく、夏至後下限は冬至後上限に同じ。中晷は1尺4寸7分小分84。
  • 儀天独自の法として、毎日陽城の晷景常数・晷景の損益差・陽城中晷景定数・晷漏損益度の入前後限数・毎日晷漏損益数・毎日黄道去極度及び赤道内外度分・毎日晷漏母・毎日昏分及び距午分を求める、それぞれ細かな乗除の手続きが定められている(数値は原文の割注に詳しい)。

歩交会(日食・月食の推算)

  • 月離九道交会(乾元は交会、儀天は歩交会という)の定数:交総717,801秒82。正交363度8,283秒7。半交181度9,142秒53半。少交90度9,521秒26太。平朔1度4,632。平望0、7,316。朔差2度8,841。望差2度1,525。初凖16,641。中凖18,191。末凖1,550。
  • 乾元交会の定数:交率16,000秒7,891。交策27、余623秒9,455。朔凖2、9,36秒545。望凖14、2,250。初限36,594。中限4,002。末限3,408。
  • 儀天歩交会の定数:交中分274,843秒2,279。交終日27、余2,143秒2,279。交中日13、余6,121秒6,121。交朔日2、余3,215秒7,721。交望日14、余7,729秒5,000。前限日12、余4,513秒7,279。後限日1、余1,607秒8,860半。交差45。交数572。秒母10,000。陰限7,286。交日0、小余6,146秒373。陽限3,174。月食既限2,582。月食分法912半。
  • 中盈度(乾元は平交朔日を求める、儀天は天正朔入交を求めるという)の法:通余を元積から減じ467で展じて分とし交総に満てば去り総数とする。去りきれない分は半分にして位を進め総数を倍にし百で収めて分とし、これを減じた余りを元法で収めて度とし、満たない分を分として「中盈度及び分」と称する。
  • 求次朔望中盈(儀天は次朔入交を求めるという)の法:天正経朔の中盈度分を置き、十一月望・十二月朔望の中日が29日5,307以下であれば朔望差度分秒を加え、それ以外の月は平朔望度分秒を加えれば求める値が得られる。
  • 月離朔交初度分(乾元は朔望交分を求める、儀天は入交常日を求めるという)の法:その朔の中盈度分を(常にその朔の常日度分と合わせ、正交以下なら半法を減じ、以上なら倍にして加える)加減して定とし、天正加時黄道宿度分から減じ、天正の宿初から起算すれば求める値が得られる。
  • 月入陰陽暦(乾元は朔望陰陽定分を求める、儀天は月行陰陽暦を求めるという)の法:月離の先後定数を先は加え後は減じ朔望中盈に加え朔望常日月分に加える(分はすなわち百で除し度はすなわち百で通す)。中凖以下は月が黄道外に出るとし、以上は去って余りを月が黄道内に入るとする。
  • 求食甚定余の法:朔定分が半法以下なら半法から返して減じ午前分とし、以上なら半法を減じて午後分とし、300を乗じ半昼分で除して差とする(午後は加え午前は半分にして減じる)。定朔分に加減して食定余とし、差はみな午前後分に加えて距中分とする。望定分がそのまま食定余となる。
  • 入食限の法:黄道内外分が初凖以上末凖以下であれば入食限とする。望が入食限であれば月食、朔が入食限であれば日食となる。月が黄道内にあれば日食、外にあれば不食、望であれば内外を問わずみな食となる。末凖以下は交後分、初凖以上は中凖から返して減じ交前分とする。
  • 入盈縮暦(乾元・儀天はこの法を立てない)の法:朔定積が182日6,223以下であれば入盈日分、以上は去って余りを入縮日分とする。
  • 黄道差(乾元は晷差を求める、儀天は黄道食差を求めるという)の法:その朔の入暦盈縮日及び分が45日以上137日以下であればみな1,500を乗じて汎差とし、45日以下は返して減じ余りを初限日とし、137日以上は減じ去って余りを末限日及び分とし、67を乗じ半分にして汎差から減じ距午分に乗じ元法で収めて黄道定分とする。入盈の定分は午前は内が減・外が加、午後は内が加・外が減、入縮の定分は午前は内が加・外が減、午後は内が減・外が加とする。
  • 赤道差(乾元は離差を求める、儀天は赤道食差を求めるという)の法:入盈縮暦日及び分が91日以下であれば返して減じ初限日とし、以上は182半から減じ末限日及び分とし、4倍して374を減じ汎差とし、距中分に乗じ半昼分で除し、汎差を減じて赤道定分とする。盈初縮末は内が減・外が加、縮初盈末は内が加・外が減とする。
  • 日食差の法:黄道差・赤道差の同名は相従わせ、異名は相消して食差とする(二暦とも法は同じ)。
  • 距交分(乾元は去交分、儀天は去交定分という)の法:交前後分を黄赤二差で加減して距交分とする。月が内道にあり減じきれなければ返して外道に入り不食とし、月が外道にあり減じきれなければ返して食差から減じ内道に入れば食がある。
  • 日食分の法:距交分が420以下であれば陽暦分、以上は去って陰暦分とする。食定余から4分の3を減じ(午前は倍、午後は半分)、位を進めて陰陽暦分から減じて食定分とし、減じきれなければ返して減じ、余りを位を進めて陰暦分に加え食定分とする。陽は42で除して食の大分とし、陰は960以下なら返して減じ96で除して食の大分とし、10を限に命じる。
  • 月食分の法:黄道内外の前後分が食限340以下であれば食既、以上は末凖から返して減じ121で除して月食の大分とする(食が5分以下で子正の前後8刻以内であれば242で除して食の大分とし10を限とする)。前後分が900以上であれば食あるいは不食の限に入る。
  • 日月食の虧初・食甚・復末(乾元は定用刻を求める、儀天は日月汎用分・虧初復末を求めるという)の法:日月食の大分・小分を百で通し1,337を乗じ、それぞれその日の離分で除して定用分とし、食定余に加えて復末定分、減じて虧初定分とする。月食は食限を定用分から減じ食甚から減じて虧初定分とし、減じきれなければ食限分を望定余として倉定分とし、余りは日食の加減法に依って月食の虧初・復末定分を得る。
  • 日食起虧(儀天は日食初起を求めるという)の法:距交分が420以上であれば初虧は西北に起こり正北で食甚となり東北で復し、以下であれば初虧は西南に起こり正南で食甚となり東南で復す。おおむね食8分以上のものはみな正西に起こり正東に復す。
  • 月食起虧(乾元は月食初定、儀天は月食初起という)の法:月が内道にあれば初虧は東南に起こり正南で食甚となり西南で復し、外道にあれば初虧は東北に起こり正北で食甚となり西北で復す。食8分以上のものはみな正東に起こり正西に復す。
  • 帯食出入(儀天は帯食出入見食分数を求めるという)の法:その日の出入分が虧初定分以上復末定分以下であれば帯食して出入する。食甚が出入分以下であれば出入分を復末定分から減じて帯食差とし、食甚が出入分以上であれば虧初定分を出入分から減じて帯食差とし、食定分に乗じ定用に満てば1として、日食は陽42・陰96、月食は121で除して帯食の大分・小分を得る。
  • 更点(乾元・儀天は月食入定点という)の法:虧初・食甚・復末の定分が晨分以下なら晨分を加え、昏分以上なら昏分を減じ、いずれも更分で除して更数とし、去りきれない分を点分で除して点数とし、初更から数えれば求める値が得られる。
  • 日月食宿分(乾元は日月食宿という)の法:天正冬至の黄道日度を朔望常日月度に加え、斗の初から数えれば日月食の宿分が得られる。