說唐第六十六回 天策府で諸将が門を叩き、顕徳殿で太宗は帝位に即く (天策府眾將敲門  顯德殿太宗御極)

毒入り飲湯による将士の苦しみ

高祖からの下賜と称して香茹飲湯が天策府に届き、将士は皆これを飲む。程咬金・尉遲恭は特に多く飲み、夜になって激しい下痢に見舞われる。他の将も同様に体調を崩し、高祖もこれを知って驚き太医院に治療を命じるが、二王がさらに英蓋史に瀉下薬を追加させたため症状は悪化する。

李靖の来援と英蓋史の自白

そこへ諸国を巡っていた李靖が長安に戻り、丹薬で将士の中毒を治す。徐茂公は毒の背後に太医院の英蓋史がいると見抜く。回復した程咬金・尉遲恭は大理寺の法廷を借り、英蓋史を騙し出して尋問、拷問の末に二王の指図であったとの自白を得る。

高祖への上奏と二王の口封じ

二人が高祖に事の次第を訴えると、高祖は殷斉二王と英蓋史を呼び対決させる。二王は罪を英蓋史一人に押し付けようとし、建成が英蓋史をその場で斬り捨てて口を封じる。高祖は二王の関与を察しながらも父子の情から強く問い質せず、憤りのあまり病に倒れる。

玄武門の変

高祖の病に乗じ、建成・元吉は禁軍を動かして天策府を襲おうと画策する。一方、秦王配下の諸将は徐茂公の計により、秦王の即位を促すべく夜半に天策府へ押し入り、秦王を担ぎ出して玄武門に伏せる。建成は禁軍を率いて駆けつけるが、待ち構えていた尉遲恭に射られて落馬し、程咬金にとどめを刺される。後から来た元吉も秦叔寶の鐧により討たれる。秦王は双方の兵に矛を収めるよう命じ、事態を収拾する。

太宗の即位

尉遲恭が高祖に、二王の謀反を秦王が誅殺した旨を奏上する。高祖は裴寂の進言(建成・元吉に功なく秦王の名声を妬んで謀反を企てた)を受け入れ、秦王に譲位を決める。秦王は固辞するが許されず、顕徳殿にて即位し、貞観元年と改元して太宗となる。高祖は太上皇に、長孫氏は皇后となり、文武百官は皆位階を進め、秦府の諸将も重用される。士卒への恩賞と大赦が行われ、天下は太平に治まる。

評語

末尾に「天が太宗の即位を見守り、唐の国運はこれより盛んとなる」という趣旨の祝賀の詩が添えられている。