說岳全傳第36回 何元慶は二度捕らわれ、金の兀朮は五路より進軍する (何元慶兩番被獲 金兀朮五路進兵)
(詩:朝廷に金軍を防ぐ策なく、宝物や宮殿が荒れ果て、故国が茨に埋もれる様を嘆く)
何元慶、一度目の捕縛
- 何元慶の二人の家将は本人が扮した比喩に過ぎず、実際には岳飛との一騎討ちが続く。決着つかぬまま夜襲を仕掛けた何元慶は、岳飛が仕込んだ落とし穴に落ちて捕らえられる。岳飛は帰順を勧めるが、何元慶は「策に嵌められただけ」と強情を張るため、岳飛は武具・部下ごと解放してやり直しを促す。
二度目の計略と棲梧山陥落
- 岳飛は迂回路から張用・張顯らに山の裏手を襲わせ、楊虎・阮良、耿氏兄弟にも別命を与え、何元慶を正面で足止めしつつ山寨を奇襲させる。
- 山寨陥落を知った何元慶は逃走するが、川では楊虎・阮良に、渡し船では耿氏兄弟に行く手を阻まれ、最後は水中で耿明初に捕らえられる。それでも強情に降伏を拒む。
岳飛の温情、ついに心服
- 岳飛は「諸葛孔明が孟獲を七度放った故事」に倣い、何元慶を再び解放。自害を図ろうとしたところへ湯懷・牛皋が酒食を届けて温情を示し、何元慶はついに感涙して降伏、義兄弟に加わる。
湖広への転戦と兀朮の五路進攻策
- 岳飛は続いて汝南の曹成・曹亮を追うが両者は逃亡、さらに洞庭湖の楊么討伐へ向かう。
- 好機と見た金の兀朮は軍師・哈迷蚩の献策により、粘罕ら四人の弟に各十万の兵を分けて山東・山西・江西・湖広へ牽制の兵を送り、自らは二十万の兵で手薄となった金陵を急襲する「五路進兵」の策を実行する。
宗澤の憂死と金陵陥落
- 金陵の留守を守る宗澤は康王の帰還を再三上奏するも聞き入れられず、兀朮の急襲と岳飛不在の報に憤死する。
- 長江総兵・杜充は寝返って金軍を手引きし、金陵はあっけなく陥落。兀朮は張邦昌の娘で康王妃となっていた荷香を「不義の女」と斬り捨て、康王一行の追跡を命じる。
高宗一行の逃避行
- 高宗は李綱ら六名と共に金陵を脱出し南へ逃れる。海塩県で梁山泊の旧将・呼延灼を頼るが、呼延灼は杜充を討ち取ったものの、老齢の身で兀朮と渡り合った末、橋の朽木を踏み抜いて落馬し討ち死にする。