西漢演義第八十九回 漢の高帝は兵を白登に困しめられる (漢高帝兵困白登)
白登山の包囲
帝は韓王信を討つべく三十万の精兵を率いて出陣、韓王信と匈奴の冒頓単于は老弱の兵と痩せた家畜だけを見せて偵察を欺いた。劉敬は「強者が弱く見せかける常套手段」と警告するが、帝は「偵察の報告を疑わず妄言で軍情を乱す」として劉敬を投獄し進軍を強行、平城に至って白登山で完全に包囲された。
陳平の美人計
帝が包囲に狼狽すると、陳平は「冒頓が寵愛する閼氏に美人図を贈り、冒頓が新たな美女を得ることを恐れさせて撤退を促す」策を進言した。閼氏は美人図を見て嫉妬し、冒頓に撤退を勧める。しかし韓王信がこれを察知し、冒頓に「美人の実物を確認させ、応じられなければ攻め続けよ」と入れ知恵した。陳平は五色に飾った木偶人形を城壁に並べて灯火の下で見せかけ、冒頓はこれを本物の美女と信じて退路を開けた。帝はこの隙に脱出し、樊噲・曹参・周勃・王陵の四将に殿を守らせた。だまされたと知った冒頓は追撃するが、樊噲らに撃退された。
帰還後の論功
帝は捕らえていた劉敬を釈放して謝罪し、進言を退けた側近十人を処刑、劉敬を建信侯に封じた。帝は陳平の功をたたえ曲逆侯に封じた。長安に戻ると、蕭何が壮麗に築いた未央宮を見て一時は華美を咎めたが、蕭何の説明を受け入れ、太上皇を招いて盛大な宴を開き、若き日の自分を卑しめた父に対して晴れやかに功業を誇った。
韓信への再召見
翌日、帝は久しく病と称して朝見しない韓信を思い出し、召し出そうとする。その顛末は次回に語られる。