西漢演義第三十一回 張良は韓信を説き剣を売らせる (說韓信張良賣劍)
剣を売ると称して韓信に接近
- 張良は淮陰の同郷人と偽って韓信を訪ね、家伝の名剣三口のうち二口は既に売り、残る一口をふさわしい相手に譲るために来たと語る。韓信は剣を見て感服し、自分にその剣を語られる資格があるかと問う。
三剣の由来と徳の講釈
- 張良は三剣(天子剣「白虹紫電」、宰相剣「龍泉太阿」、元戎剣「幹將莫邪」)の故事を語り、天子には仁・孝・聰・明・敬・剛・儉・學の八徳、宰相には忠・正・明・辨・恕・容・寬・厚の八徳、元戎には廉・果・智・信・仁・勇・嚴・明の八徳が要ると説く。
- 天子剣は既に劉邦に、宰相剣は既に蕭何に譲ったと明かし、それぞれの根拠(劉邦の天子の相と斬蛇の故事、蕭何の関中における善政と約法三章)を述べる。
元戎剣を韓信に授ける
- 韓信は残る元戎剣が自分に譲られると知り、名声なき身にふさわしいかと謙遜するが、張良は千里の馬も伯楽を得て初めて名馬となる譬えを引き、韓信の器量を見込んでのことだと励ます。
- 韓信は胸中の鬱屈(幾度も上表しても項羽に用いられず、遷都で大事も去ったと嘆く境遇)を吐露し、賢臣は主を選ぶべきという張良の言葉に心動かされ、目の前の人物が張子房ではないかと見破る。
- 張良は正体を明かし、韓信も漢王への帰順を決意する。張良は漢王が長者であり大事を成す人物だと述べ、証として一書を韓信に託す(詩:この書状の値打ちは連城の璧や夜明の珠にも勝り、呂望の幾多の策にも勝ると譬える)。書状の中身は次回に持ち越されたところで終わる。