三國演義第九十三回 姜伯約は孔明に帰順し降り、武郷侯は王朗を罵り死に至らしめる (姜伯約歸降孔明 武鄉侯罵死王朗)
姜維、趙雲を退ける
- 姜維は馬遵に、蜀の伏兵に乗じた挟撃策を献じる。自ら精兵を率いて伏せ、太守は誘い出されたふりで出撃し、火を合図に呼応する策。
- 趙雲は天水城を攻めるが、姜維の伏兵と馬遵・梁虔の挟撃に遭い苦戦、辛くも張翼・高翔の援軍で退く。
- 孔明は趙雲を破った姜維の器量に驚嘆し、その人物を知って自ら軍を進める。
冀城をめぐる攻防
- 孔明は夜襲を仕掛けるが、姜維の伏兵に阻まれ退却。姜維の母が冀県にいると知り、魏延に冀県攻めの構えを取らせつつ、上邽(天水の兵糧拠点)へは趙雲を向かわせる。
- 姜維は母を案じて冀城救援に向かい、籠城して母を守る。
夏侯楙を利用した離間策
- 孔明は捕虜の夏侯楙を釈放し、姜維を降伏させるよう仕向けるが、実際には夏侯楙自身が逃げる途上で「姜維が蜀に降った」との噂を聞かされ、天水城の馬遵にもそれを伝えてしまう。
- 夜、蜀兵が姜維に扮して天水城下で夏侯楙を呼び「降伏の約束を破った」と詰る芝居を打ち、馬遵らに姜維の裏切りを信じ込ませる。
姜維、孔明に降る
- 兵糧不足の冀城で姜維は蜀軍の兵糧を奪おうとするが、張翼・王平に挟撃され、冀城はすでに魏延に奪われている。
- 天水城・上邽城でも身の潔白を証せぬまま門前払いされ、進退窮まった姜維は関興に追い詰められた末、孔明の前で下馬して降伏する。
- 孔明は姜維の才を長年求めていた人物として喜び、厚く迎える。
天水・上邽の攻略
- 姜維の計により、天水城内の梁緒・尹賞に内応を働きかける密書を送る。夏侯楙・馬遵がこれを疑って二人を殺そうとしたため、逆に梁緒・尹賞は城を開いて蜀軍を迎え入れる。
- 夏侯楙・馬遵は羌族の地へ逃走。梁緒の弟梁虔が守る上邽も説得により降伏し、天水・冀城・上邽の三城が孔明の手に落ちる。
- 孔明は「夏侯楙一羽の鴨を逃しても、姜維という鳳を得た」と喜び、諸将にもその意を語る。
- 蜀軍の威名は轟き、近隣州郡が続々帰順。孔明は軍を整え祁山に進出し、渭水西岸に迫る。
曹真の出陣と王朗の弁舌
- 洛陽では夏侯楙の敗報に曹叡が動揺し、王朗の推挙で曹真を大都督に任じ、副都督に郭淮、軍師に高齢の王朗を付けて二十万の軍を授ける。
- 祁山前で両軍対陣。王朗は孔明に「天命は魏に帰した、降れば富貴を保てる」と説くが、孔明は桓帝・霊帝以来の乱世と魏の簒奪の非を厳しく論駁し、王朗の変節を痛烈に罵倒する。
- 王朗はその場で激昂のあまり落馬して憤死する(詩でその顛末を讃える)。
曹真の伏兵策と蜀軍の反撃
- 曹真は郭淮の献策で王朗の喪に乗じた夜襲を装い、伏兵で蜀の陣を挟撃しようとする。
- 孔明はこれを見越し、趙雲・魏延・関興・張苞・馬岱・王平・張翼・張嶷らをあらかじめ伏せ、空の陣地を用意して魏軍をおびき出す。
- 夜襲に来た魏の曹遵・朱讚は空陣に踏み込んで同士討ちとなり、四方の伏兵に包囲されて大敗。曹真・郭淮も含め魏軍は総崩れとなり、孔明の大勝に終わる。
- 敗軍を収めた曹真・郭淮は、なお蜀軍を退ける策を郭淮が申し出る。