三國演義第九十回 巨獣を駆り六たび蛮兵を破り、藤甲を焼き七たび孟獲を擒にする (驅巨獸六破蠻兵 燒藤甲七擒孟獲)
銀坑洞の攻略
- 孟獲の本拠・銀坑洞の様子(三江の要害、祖廟での祭祀の風習など)が語られる。孔明は土嚢の山を築いて三江城を攻略し、朵思大王を討ち取る。
祝融夫人の応戦と第六次捕縛
- 孟獲の妻・祝融夫人(飛刀の名手)が出陣し、張嶷・馬忠を捕らえるが、孔明側は計略で夫人を生け捕り、人質交換で二将を取り戻す。
- 孟獲は妻の縁で八納洞の木鹿大王(呪術で猛獣を操る)の援軍を得るが、孔明は事前に用意した機械仕掛けの巨獣で本物の猛獣を怖じ気づかせて撃退し、木鹿大王も討ち取る。
- 銀坑洞を制圧した孔明は、偽装投降してきた帯来洞主一行(実は暗殺目的で刃を隠し持つ)を見破り捕らえる。六度目の捕縛でも孟獲は「己の本拠でなければ服さぬ」と主張し、孔明は解放を続ける。
藤甲軍との死闘
- 追い詰められた孟獲は烏戈国の兀突骨を頼る。藤甲(水も刀も通さない鎧)を着た三万の兵を得て桃花渡口に布陣する。
- 蜀軍は藤甲の防御力に苦戦するが、孔明は盤蛇谷の地形を利用し、魏延にわざと十五連敗させて敵を油断させ、谷の奥深くまで誘い込んだ上で、地雷・火薬車・松明による大規模な火攻めを仕掛ける。藤甲は油に浸したものであるため炎に弱く、兀突骨と三万の藤甲軍は谷の中で全滅する。
- 孔明はこの殺戮の大きさに「必ず寿命を損なうだろう」と涙して嘆く。
七度目の捕縛と孟獲の完全服従
- 逃げる孟獲は最終的に馬岱に生け捕られ、祝融夫人ら一族も皆捕らえられる。孔明が「わざと恥じて会わぬふりをして解放する」演技を仕掛けたところ、孟獲はついに自ら詫びを入れ、心から服従を誓う。
- 孔明は孟獲を洞主として据え直し、奪った土地も全て返還する。長史費禕の「現地に官吏を置くべき」との進言に対し、孔明は駐留の弊害(兵糧・恨み・不信)を説き、現地人による自治を選ぶ。南蛮の人々は孔明を慕い、生祠を建てて「慈父」と呼んだと伝えられる。
帰路の異変
- 凱旋の途上、瀘水で魏延の軍が原因不明の暴風に阻まれて進めなくなり、孔明が孟獲にその理由を尋ねるところで回を終える。