三國演義第四十三回 諸葛亮は舌戦にて群儒を論破し、魯子敬は力を尽くし衆議を退ける (諸葛亮舌戰群儒   魯子敬力排眾議)

曹操の檄文と主戦・主和の対立

  • 魯粛と孔明は柴桑へ向かう。孫権は曹操からの「共に劉備を討ち領地を分けよう」との高圧的な檄文を前に決断できずにいる。張昭ら文官は長江の要害も曹操に共有された以上、抗戦は不可能として降伏を主張する。
  • 魯粛は孫権に「降伏すれば臣下は職を保てるが、将軍は帰る場所を失う」と説き、決断を促す。孫権は魯粛の言に同意しつつも、曹操の大軍を恐れて逡巡し、孔明との対面を翌日に持ち越す。

舌戦群儒

  • 翌日、孔明は張昭ら江東の文官二十余名の前に引き出され、次々と論戦を挑まれる。
  • 張昭は「三顧の礼で迎えられながら、劉備が新野・樊城・当陽・夏口と敗走を重ねているのは矛盾ではないか」と皮肉るが、孔明は「病人には急激な猛薬ではなく段階的な治療が要る」との比喩で反論し、劉備が博望・白河で曹操軍を打ち破った実績、劉琮降伏の不関与、当陽での民を思う仁義を説き、張昭を沈黙させる。
  • 続く虞翻・歩隲・薛綜・陸績・厳畯・程徳枢ら各人の挑発(曹操の強大さ、劉備の出自の卑しさ、儒者としての学問の有無など)に対し、孔明は一つ一つ理を尽くして反論し、いずれも言葉を失わせる。
  • 論戦の場に割って入った黄蓋が「今は口論ではなく退敵の策を語るべき」と場を収め、孔明を諸葛瑾との私的な挨拶もそこそこに孫権の前へ導く。

孫権を激する

  • 孫権に謁見した孔明は、あえて曹操の兵力を実際より多く(百五十万のところを控えめに百万と)述べ、その威容を強調し、「降伏か抗戦か、将軍自ら決めるべき」と突き放す言い方をして孫権を刺激する。
  • さらに「劉豫州は義に殉じても人に屈する人物ではない」と述べたことで孫権は気分を害し席を立つが、魯粛の取りなしで孔明が本当は破曹の策を持っていることが伝わり、孫権は改めて孔明を招く。

天下三分の説得

  • 酒宴の席で孫権は本音を漏らし、孔明は「関羽・劉琦の兵力は健在であり、遠征で疲弊した曹操軍は水戦に不慣れで、荊州の民も心から服してはいない」と分析し、共闘すれば必勝であること、勝てば荊呉が並び立つ形勢(天下三分)が生まれることを説く。
  • 孫権はこれに大いに納得し、開戦を決意するが、張昭ら文官はなお降伏を説き続け、孫権は再び逡巡する。魯粛の励ましもあり煮え切らない孫権は、母・呉国太のもとを訪れ、亡き姉の遺言を思い出すよう促される。