三國演義第四十回 蔡夫人は荊州を献ずることを議し、諸葛亮は火をもって新野を焼く (蔡夫人議獻荊州   諸葛亮火燒新野)

荊州奪取の進言と曹操の南征決定

  • 孔明は劉表危篤の機に荊州を奪って安身の地とするよう勧めるが、玄德は恩義を理由に応じない。
  • 大敗した夏侯惇を許昌で赦した曹操は、李典・于禁の忠告を軽視した非を認めつつも、劉備・孫権打倒を決意し、五十万の大軍を五隊に分けて建安十三年秋、南征に出発する。
  • 孔融が劉表・劉備・孫権への出兵を諫めるが、曹操は激怒してこれを退け、郗慮の讒言もあって孔融とその一族を処刑する。京兆の脂習だけが遺体を弔い、荀彧の取りなしで難を逃れる。
  • (詩:孔融の豪気と忠直を讃える)

劉表の死と荊州の内紛

  • 病篤い劉表は玄德に後事を託し、長子劉琦を後継とするよう遺言するが、蔡夫人一派は劉琦が見舞いに来るのを蔡瑁に阻ませ、会わせないまま劉表を死なせる。
  • (詩:牝鶏晨するの禍で家運を傾けた劉表を悼む)
  • 蔡夫人・蔡瑁・張允は遺言を偽り、次子劉琮を後継に立てる。幕官・李珪はこれに抗議して蔡瑁に斬られる。
  • 蔡氏一族が荊州の兵権を握り、劉表の死は劉琦・玄德に知らされないまま、劉琮は襄陽に移る。

荊州の曹操への献上

  • 曹操軍が迫る中、劉琮は蒯越・傅巽・王粲らの進言(曹操に抗しがたいとの分析)を容れ、蔡夫人の同意も得て荊州九郡を曹操に献上する降伏文書を送る。
  • 使者・宋忠は帰路で関羽に捕らえられ、事の次第を白状する。玄德はこれを知り慟哭し、張飛は即時進撃を主張するが、玄德は思いとどまる。
  • 江夏の劉琦から伊籍が遣わされ、劉琮の簒立と荊州献上の事実を伝え、襄陽討伐を求める。伊籍・孔明は好機と勧めるが、玄德は「兄の遺児を討つのは義に反する」として拒み、樊城への退避を選ぶ。

新野炎上作戦

  • 孔明は「今度も曹操軍を計略にかける」とし、新野の民を樊城へ避難させる一方、関羽・張飛・趙雲・糜芳・劉封らに周到な伏兵と放火の手はずを整えさせる。
  • 曹仁・曹洪の先鋒が疑心暗鬼のまま新野城へ入城するが、もぬけの殻の城で油断したところへ夜半に四方から火が放たれ、大混乱に陥る。
  • (詩:曹操軍を焼き払った新野炎上の勢いを詠う)
  • 東門から逃れた曹仁軍を趙雲・糜芳・劉封が次々に追撃し、さらに白河の上流を堰き止めていた関羽が水を放って敗残兵を押し流す。
  • 命からがら博陵渡口まで逃げた曹仁の前に、今度は張飛が待ち構えていた。