三國演義第三十九回 荊州城で公子は三たび計を求め、博望坡で軍師は初めて兵を用いる (荊州城公子三求計  博望坡軍師初用兵)

黄祖の最期と甘寧・凌統の確執

  • 敗走する黄祖を甘寧が追い詰めて討ち取り、首級を孫権に献じる。孫権は江夏を放棄し、張昭の献策により東呉へ帰還して機を待つ方針を取る。
  • 甘寧は自らに恩ある捕虜・蘇飛の助命を願い出て許される。だが祝宴の席で、かつて甘寧に父・凌操を討たれた凌統が復讐しようと斬りかかり、孫権が仲裁に入る。事態を収めるため、孫権は甘寧を夏口の守備に出し、凌統とを引き離す。
  • 東呉は水軍を増強し、周瑜が水軍調練にあたる。

荊州の情勢と劉表の相談

  • 玄德は東呉が黄祖を破ったことを知り、孔明と共に劉表の招きで荊州へ赴く。孔明の助言に従い、玄德は東呉への報復戦には加わらず、新野で軍備を整える意向のみを伝える。
  • 劉表は老齢を理由に荊州を玄德に託そうとするが、玄德はその恩義から固辞し、孔明はその仁徳に感嘆する。

劉琦の窮状と申生重耳の計

  • 継母蔡氏に命を狙われる劉琦が玄德に泣訴するが、家事に立ち入れないとして孔明は当初取り合わない。玄德の計らいで劉琦邸を訪ねた孔明は、梯子を外されて逃げ場のない状況に追い込まれ、ついに「申生は内に留まって滅び、重耳は外に出て安泰だった」との故事を引き、江夏に出て禍を避けるよう助言する。
  • 劉琦はこれに従い江夏鎮守を願い出て許され、玄德も新野へ帰る。

曹操の南征準備

  • 曹操は三公の職を廃して丞相を兼ね、司馬懿らを登用し、南征を協議する。夏侯惇が新野の劉備討伐を進言し、曹操は十万の兵を与える。徐庶は諸葛亮の才を高く評価し、曹操・夏侯惇に軽視しないよう忠告するが、夏侯惇は聞き入れず出陣する。

孔明、初めて兵を用う

  • 玄德は孔明を師として厚遇するが、関羽・張飛はその才をまだ疑っている。孔明は玄德を諭し(犛牛の尾で帽子を作る逸話を通じて志を問う)、新野の民から兵を募り訓練する。
  • 夏侯惇来襲の報に、玄德は剣印を孔明に預けて指揮権を委ね、関羽・張飛にも号令を徹底させる。
  • 孔明は博望坡の地形を利用し、関羽・張飛・趙雲・関平・劉封らにそれぞれ伏兵・火計の役割を割り振り、自らは新野に残る。
  • 趙雲がわざと敗走して夏侯惇を誘い込み、韓浩・李典らの警告も聞き入れられぬまま、夏侯惇軍は狭路で火攻めに遭って大敗する。夏侯蘭は張飛に討たれ、夏侯惇はほうほうの体で許昌へ逃げ帰る。
  • (詩:初陣で曹操の肝を冷やした孔明の采配を讃える)
  • 勝利した玄德軍は新野に凱旋し、民に迎えられる。孔明は「夏侯惇は敗れたが、曹操自身が大軍を率いて来るだろう」と次なる危機を予見する。