遼史卷五十 志第十九 禮志二
喪葬儀
聖宗が崩じたとき、興宗は菆塗殿で哭臨し、大行(先帝の遺体)を安置した夜、四鼓が終わると皇帝は群臣を率いて柩前に入り三たび奠を捧げ、柩を殿の西北門から出して輼輬車に載せ、白絹を敷いて巫が祓い清めた。翌朝出発し、祭所に至るまで五度奠を捧げ、太巫が祈禳し、皇族・外戚・大臣・諸京の官が順に祭を行った。衣・弓矢・鞍勒・図画・馬駞・儀衛などの器物はすべて焼いた。山陵に至り葬儀を終えると哀冊を上る。皇帝は幄で改火を命じ、火に向かって奠じ三拝し、また東に向かって天地に再拝したのち馬に乗り、送葬の者を率いて神門の木を過ぎると馬を下り、東に向かって再拝する。翌日未明、群臣・命婦を率いて山陵に詣で初奠の礼を行い、御容殿に登って遺賜を受ける。さらに翌日、再び初めのように奠を行う。興宗が崩じたときは道宗が自ら葬地を選んだ。道宗が崩じたときは遊仙殿で菆塗し、有司が喪服を奉じ、天祚皇帝は総知翰林院事の耶律固に礼を問い、初めて斬衰の喪服を着け、皇族・外戚・使相・矮官(近侍官)・郎君も同様の喪服を着け、その他の官・承応人は皆白い枲(麻)の衣・巾で入って哭臨した。特哩衮・三父房・南府宰相・約尼詳衮・九奚首郎君・伊勒希巴・国舅詳衮・十扎薩克郎君・南院大王・郎君はそれぞれ順に奠を薦め、鞍馬・衣襲・犀玉帯などの物を進め、その数を表に列記して読み終えると表を焼いた。諸国から賻を贈られた器服、親王や諸京の留守が奠祭として進める賻物も同様である。先帝の小斂の前日、皇帝は喪服を着けて香を上げ酒を奠じて哭臨する。その夜、北院枢密使と契丹行宮都部署が小斂に立ち会う。翌日、北院枢密副使・林牙に命じて賵として贈られた器服を幽宮に置かせる。霊柩を車に乗せると親王が車を推し、食羖(羊を屠る儀礼)の場に至る。これは遼国の旧俗で、この地で羖羊を屠って祭る。皇族・外戚・諸京州の官は順に祭を行う。葬所に至り霊柩を車から降ろして轝に載せ、皇帝は喪服のまま徒歩で長福岡まで導く。その夜、皇帝は陵寝に入り、皇族・外戚・大臣に遺物を授け、退出すると先帝の寝幄を陵前の神門の木の前に過ぎさせるよう命じるが、帝自身は行かず近侍が冠服を整えて代わりに赴く。初奠では皇帝・皇后が皇族・外戚・使相・節度使夫人以上の命婦を率いて拝祭し、陵を三周してから降り、再奠も初めと同様に行い、陵を辞して戻る。
上諡冊儀
前日、菆塗殿の西廊に御幄と臣僚の幕次を設ける。大楽令は殿庭に宮懸の楽を並べ、恊律郎は挙麾の位を設ける。当日、南北の面の臣僚は朝服で未明に菆塗殿に赴く。まず冊宝の案を西廊下に置き、閤使が皇帝を御幄に導き寛衣皂帯を着け、臣僚が班を整えて入り殿に向かって合班し位に定まると、冊案を殿に上げ褥位に至り、宝案がこれに次いで西階に設けられる。閤使は皇帝を西階から殿に上らせ、初めに楽が奏され位に着くと止む。宣徽使が皇帝に鞠躬・再拝を促し、陪位の者も皆再拝する。翰林使が台琖(杯台)を捧げて進み、皇帝は再拝して神座の前に至り跪いて奠じる。三たび楽が奏され、奠を進め終えると位に戻り楽が止む。また再拝し、陪位の者も皆再拝する。皇帝を神座の前・北面に導くと、冊函を捧げる者が蓋を除いて進み跪いて冊案を退けて殿の西壁下に置く。読冊者を進ませ、俯伏して跪き自ら全銜を通し「臣、謚冊を読む」と告げて読み終えると俯伏して興り位に戻る。冊函を捧げる者は案の上に置き、宝函を捧げる者が進み跪いて読宝官が通銜を読む。読み終えると皇帝を褥位に導いて再拝させ、陪位の者も皆再拝して礼を終え、皇帝を御幄に戻す。はじめ楽が奏され御幄に至ると止み、臣僚を分班して退出させる。皇太后が奠酒する場合は通常の儀に準ずる。
忌辰儀
前日、忌辰の榜子を奏し、あらかじめ大紙一幅の陰面第三行に「文武百僚、宰臣某以下、謹んで西上閤門に詣で名を進め奉慰す」と書いておく。当日、拝礼すべき大小の臣僚は皆皂衣に皂鞓帯を着け、四鼓の頃に幕次の前(在京では僧寺)に至り、位に従い闕を望んで列に立つ。直日舎人が右手に名紙を執り前に跪き、班首以下は皆再拝して退く。名紙は宣徽使のもとに集められ内侍に付されて奏聞される。
宋使祭奠弔慰儀
太皇太后は菆塗殿に喪服で臨み、太后は北間に南面して垂簾のうちに坐し、皇帝は南間に北面して坐す。宋使が幕次に至ると素服・皂帯を賜り、着替えを終えて南北の臣僚が入り班を整える。矮官以下は皆殿に上がって位に就く。まず祭奠使副が祭文を捧げて南洞門から入り、殿上下の臣僚は挙哀する。丹墀に至って位に立つと、西上閤門使が南階から降りて祭文を受け、殿に上って開封し香案に置く。哭を止めて祭奠の礼物を殿前に列べ、使副を南階から殿に上らせ褥位で拝礼させる。大使が近づいて香を上げ再拝し、また近づいて台琖を捧げて三たび酒を奠じ、教坊が楽を奏する間に退いて再拝する。中書の二舎人が祭文を捧げて跪き、大使を導いて俯伏して読み終えると挙哀し、使副を殿から降ろして立たせると哭を止める。禮物は擔牀で運び出し、使副を南に向けて北に立たせ、弔慰使副を南洞門から入れる。四使は共に大行皇帝の霊に見えて再拝し、退いて幕次に帰る。皇太后は別殿に喪服で坐し、まず北南面の臣僚を殿上下の位に立たせる。弔慰使副が書匣を捧げて右から入って殿の当面に立つと、閤門使が右から降りて書匣を受け、殿に上って開封し奏す。読み終えると使副を南階から殿に上らせ弔慰の意を伝えさせ、退いて殿を降りる。禮物の擔牀が通り過ぎると、使副を南北面に立たせ、祭奠使副を入れて四使が共に鞠躬・再拝して聖躬万福を奏し、また再拝して面天顔を謝し、また再拝する。宣徽が聖旨を伝えて撫問し、位に就いて謝礼再拝する。退いて幕次に帰る。皇帝は南殿に喪服で御し、使副が謁見することは皇太后への儀と同様で、加えて遠接・撫問・湯薬への謝礼再拝を行う。次いで使副と従人に宴を賜り、祭奠使副には別に祭文の返礼の品を賜る。即日、館で宴を賜る。高麗・夏国が弔問・進賻の使を送る礼もほぼこれに準ずる。道宗が崩じたとき天祚皇帝は耶律固に礼を問い、宋国が弔使を遣わして祭り賵を送った際、皇帝は喪服のまま遊仙殿の北の別殿に御し、使者が門に入ると皇帝は哭し、使者は柩前で香を上げ祭文を読み終えるとまた哭し、有司が遺詔を読むと慟哭した。使者が退出してしばらくして再び入り、賻賵を柩前に陳ね、皇帝が入って臨哭して退き、服を改め遊仙殿南の幄殿に御した。使者が入見して辞去する際、勅により有司が館で宴を賜った。
宋使告哀儀
皇帝は素冠服、臣僚は皂の裝束と鞓帯を着ける。宋使が書を捧げて右から入り丹墀内に立つと、西上閤門使が右階から降りて書匣を受け取り、殿に上って欄内で鞠躬し封を開くことを奏し、殿西の案で開封して宰臣に渡して読ませる。読み終えると皇帝は挙哀する。舎人が使者を右階から欄内に導き俯跪して起居を奏させ、俯伏して興り立つと、皇帝は南朝皇帝の聖躬万福を問う。使者は跪いて「来る時、聖躬万福でした」と奏して起立し退く。舎人は使者を右階から殿を降ろし丹墀の西面に東を向いて鞠躬させ、通事舎人が使者の名を通じ「祗候して見える」と告げ再拝、班を出ずに聖躬万福を奏して再拝し、班を出て面天顔を謝して再拝し、また班を出て遠接・撫問・湯薬を謝して再拝し、祗候して幕次に赴く。衣物を賜る。従人を入れて通名させ、聖躬万福を奏し拝させ、退いて幕次で衣を賜ることは使者と同様。また使者を入れて殿に面し鞠躬させ、謝恩を告げさせ、再び宴を賜る旨を告げて再拝させ、祗候して出て幕次で宴を賜る。従人を入れて謝恩・拝を告げることも同様。宴を終えると館に帰る。
宋使進遺留禮物儀
百官は未明に朝服で殿前に班立し、宋の遺留使が登位使の告哀を告げると使副は内門から入り、館伴副使が謝登位使を幕次に導いて坐らせる。館伴大使は遺留使副とともに書を奉じて西上閤門の外の氈位に至って立つ。閤使が書匣を受けて殿西階下の案に置き、進使を引いて遺留物を西上閤門から入れ、廊下の横門から出す。皇帝は殿に登り坐し、宣徽使が殿前班の起居を押させ終えると、宰臣に文武班の起居を押させ、中書令を西階から殿に上らせ宋使の見榜子を奏させる。契丹臣僚が起居し控鶴官も起居を終えると、遺留使副が西上閤門から入り殿に面して立つ。舎人が使副を西階から殿に上らせ起居を附奏させ、西階から殿を降ろして丹墀の東西面で鞠躬・通名させ、聖躬万福を奏することは告哀使の儀と同じで、面天顔・遠接・撫問・湯薬を謝すことも同様。遺留使の従人が見えることも同様。次に告登位使副が書匣を捧げて東上閤門から入り殿に面して立つと、閤使が東階から降りて書匣を受け、中書令が読み終えると、舎人が使副を東階から殿に上らせ起居を附奏させ、殿を降りて南面に立たせる。告登位の禮物は廊下の横門から出す。退いて西面に鞠躬し起居を附奏し、面天顔・遠接などを謝すことは遺留使に準ずる。遺留・登位両使副と従人への衣物の下賜は告哀使と同様。座に着くべき臣僚は皆殿に上って位に立ち、両使副を両廊に分けて立たせる。皇帝が使副に「道中お変わりありませんでしたか」と問い、丹墀内で五拝すると、それぞれ殿に導いて祗候の位に立たせる。大臣が酒を進め皇帝が飲むと、契丹・漢人の通事が殿上の臣僚に拝礼を促し、万歳を称える。それぞれ坐に着き酒・肴・茶・饌・饅頭が進められ、従人は退いて水飯を終えると、臣僚は皆起立し、契丹・漢人の通事がまた拝礼させ万歳を称え、それぞれ祗候する。宋使副のみ殿を降ろして五拝の謝礼をさせ、控鶴官の門外で祗候させたのち、閤門に無事を報告し、供奉官が捲班して退出する。
高麗夏国告終儀
あらかじめ行宮の左右下の御帳に使客の幕次を東南に設ける。当日、北面の臣僚は常服、その他の臣僚は朝服を着け入朝する。使者が幕次に至ると、有司は嗣子の表状をまず樞密院に呈して奏上の準備を整える。まず北面の臣僚と矮官以上を御帳の近くに向かい合わせて立たせ、他の臣僚は班位の順に立つ。告終の使者を右から入れて丹墀に至り殿に面して立たせ、右上に導いて少し前に進ませ、跪いて拝礼・上奏させる。嗣子がすでに立っていれば宣問し、使者は身を屈めて聖旨を受ける。奏し終えて位に戻る。嗣子が未だ立っていなければ宣問しない。右から丹墀に導いて北面させ鞠躬・通班を終えると、殿に面して再拝させ、班を出ずに聖躬万福を奏し再拝、班を出て面天顔を謝して復位・再拝、班を出て遠接を謝して復位・再拝し、祗候して退いて幕次に赴く。再び入って前と同じく北面・鞠躬して通辞し、再拝して戀闕(都を離れる名残を惜しむ言葉)を述べ、再拝し「好去」と告げられて礼を終える。