遼史卷二十四 本紀第二十四 道宗四

太康五年(1079年)

  • 正月: 混同江に行幸。宰相耶律孝傑に「仁傑」の名を賜う。山榆淀に行幸。
  • 三月: 頭鵝を得た功により仁傑に侍中を加える。北院枢密使・魏王耶律伊遜に南院大王事を知させ、裕悦の号を加えて北院枢密使事を知させる。耶律霂を北院枢密使とし、北院枢密副使耶律塔喇台に北院枢密使事を知させ、左伊勒希巴耶律世遷に北院枢密使事を同知させる。
  • 夏四月: 己未、納克濼に行幸。
  • 五月: 丁亥、慶陵に謁する。契丹行宮都部署耶律雅克を南府宰相とし、北面林牙耶律永寧・伊勒希巴に南院枢密使事を同知させる。蕭托卜嘉および殿前副点検・駙馬都尉蕭綽哈をともに蘭陵郡王に封じる。
  • 六月: 辛亥、凖布が来貢。丁巳、北府宰相・遼西郡王蕭額哩頁を西北路招討使とする。己未、使者を遣わし囚人を録する。是月、進士劉瓘ら百十三人を放つ。
  • 秋七月: 己邜、夹山で狩猟。
  • 八月: 庚申、太宗神功碑の建立を有司に命じ南京に立てる。
  • 九月: 己邜、諸路に僧徒の開壇を禁ずるなと詔する。壬午、扈従の擾民を禁ずる。
  • 冬十月: 戊戌、夏国が使者を遣わし来貢。己亥、都爾嘉に駐蹕。壬子、皇子のみ一字王とし、他は削り降すよう詔する。丁巳、平州の貧民を振恤する。己未、趙王楊績を遼西郡王とし、魏王耶律伊遜を混同郡王に降封し、呉王蕭罕嘉努を蘭陵郡王として致仕させる。
  • 十一月: 丁丑、沙門守道に内殿で開壇させる。癸未、南京の流民の差役を復し、三年前の火災に遭った家は租税を一年免じる。
  • 十二月: 丙午、彗星が尾宿を犯す。乙邜、西京に幸す。戊午、再生礼を行い、雑犯死罪以下を赦す。

太康六年(1080年)

  • 正月: 癸酉、鴛鴦濼に幸す。辛邜、耶律伊遜を興中府事に出知させる。
  • 三月: 庚寅、皇孫延禧を梁王・忠順軍節度使に封じる。耶律仏徳を南院大王、耶律仲禧を南院枢密使、戸部使陳毅を参知政事とする。
  • 夏四月: 乙邜、炭山で狩猟。
  • 五月: 壬申、平州の復業民の租賦を一年免じる。庚寅、旱により雨を祈り、左右に水を注がせたところ雨が降った。
  • 六月: 戊戌、納克濼に駐蹕。戊申、度支使王績を参知政事とする。庚戌、女直が使者を遣わし来貢。
  • 秋七月: 戊辰、市を観る。癸未、皇孫梁王延禧のため旗鼓・伊喇六人を設けて衛らせる。甲申、沙嶺で狩猟。
  • 閏九月: 壬寅、木葉山を祠る。己酉、藕絲淀に駐蹕。
  • 冬十月: 己未朔、同知広徳軍節度使事を省き、奉先軍節度使に乾・顕二州の巡警を兼任させる。丁邜、耶律仁傑を武定軍節度使として出す。庚午、参知政事劉詵が致仕。癸酉、陳毅を漢人行宮都部署、王績を枢密院同知とする。辛巳、回鶻が使者を遣わし来貢。
  • 十一月: 己丑朔、日食あり。癸邜、群臣を召して政を議する。
  • 十二月: 甲子、耶律塔喇台を孟父詳衮とする。乙丑、蕭托卜嘉を北府宰相とし、耶律世遷に北院枢密使事を知させ、耶律慎思に北院枢密使事を同知させる。庚午、西京の流民の租賦を一年免じる。甲戌、民の賦を減じる。丁亥、正旦の礼を予め行う。戊子、混同江に幸す。

太康七年(1081年)

  • 正月: 戊申、五国部長が来貢。甲寅、女直が良馬二を貢する。
  • 二月: 甲子、魚児濼に幸す。
  • 夏五月: 壬子、嶺西に駐蹕。癸丑、有司が永清・武清・固安三県の蝗害を奏する。甲寅、蕭托卜嘉に殿前都点検を兼ねさせ、蕭綽哈を漢人行宮都部署兼知枢密院事とする。
  • 六月: 甲子、月ごとに観徳殿で祭を行い、四季の寒食と歴代皇帝の生辰・忌日には景宗御容殿に詣でて奠を致すよう詔する。丙寅、凖布余果が来貢。丁邜、翰林学士王言敷を参知政事とし、北院宣徽使石篤を漆水郡王に封じる。
  • 秋七月: 戊子、秋山で狩猟。丙申、慶陵に謁する。
  • 八月: 丁邜、赤山で射鹿し、囲場使尼格を静江軍節度使とする。
  • 九月: 戊子、懐州に次り皇后に懐陵を謁させる。辛邜、祖州に次り皇后に祖陵を謁させる。乙巳、藕絲淀に駐蹕。
  • 冬十月: 戊辰、特哩衮旺玖を南院大王とし、伊勒希巴奚綽竒を彰国軍節度使とする。
  • 十一月: 乙酉、毎年官銭を出して諸宮分および辺戍の貧戸を振済せよと詔する。丁亥、駙馬都尉蕭綽哈の邸に幸して飲もうとしたところ、宰相梁頴が「天子は臣下の家で飲むべきでない」と諫め、即座に還宮した。己亥、高麗が来貢。辛巳、帛絹の尺度が狭短であることを禁ずる令を出す。
  • 十二月: 丁邜、武定軍節度使耶律仁傑が罪により爵を削られ庶人となる。辛未、興中府事を知る耶律伊遜が罪により来州に囚われる。

太康八年(1082年)

  • 正月: 甲申、混同江に幸す。丁酉、鉄驪・五国の諸長がそれぞれ方物を貢する。
  • 二月: 戊午、山榆淀に幸す。辛酉、北南院官が駅を給する際は必ず先に奏聞し、貢新および獄訟の奏のみ馳駅を許し、他は禁ずるよう詔する。己巳、夏国が宋将張天一を獲て使者を遣わし献上する。壬申、耶律仏徳を南府宰相兼知北院枢密使とし、雅克を特哩衮とし、蕭托卜嘉に契丹行宮都部署事を兼ねさせる。
  • 三月: 庚戌、黄龍府の女直部長鐘鼐が民を率いて内附し、官を授けられ印綬を賜る。是月、秬黍で定めた升斗を行うよう詔する。
  • 夏四月: 壬戌、耶律世遷を上京留守とする。
  • 六月: 辛亥朔、納克濼に駐蹕。丙辰、夏国が使者を遣わし来貢。丁巳、耶律仏徳を北院枢密使、耶律超格を南府宰相、劉筠を南院枢密使とし、蕭托卜嘉に北院枢密使事を兼知させ、王績を漢人行宮都部署、蕭綽哈を国舅詳衮とする。乙丑、凖布が来貢。丙子、耶律慎思に右伊勒希巴事を知させる。
  • 秋七月: 甲午、秋山に幸す。南京で長雨が続き沙河が溢れ、永清・帰義・新城・安次・武清・香河の六県で作物が損なわれる。
  • 九月: 庚寅、慶陵に謁する。丁未、藕絲淀に駐蹕。大風雪で牛馬が多く死し、扈従の官以下に衣馬を賜う。
  • 冬十月: 乙邜、華格に梁王延禧の傅導を命じ金吾衛大将軍を加える。丙子、乾陵に謁する。
  • 十一月: 壬午、伊実大王蕭哈噶を南院宣徽使とし奚六部大王事を権知させる。図罕を本部大王とする。
  • 十二月: 癸丑、烏爾古徳哷勒統軍使耶律瑪古を北院大王とする。庚申、皇后を惠妃に降し乾陵に出居させる。

太康九年(1083年)

  • 正月: 辛巳、春水に幸す。
  • 夏四月: 丙午朔、大雪、平地一丈余に積もり、馬の死者は十のうち六七に及ぶ。
  • 五月: 黒嶺に幸す。
  • 六月: 己未、散水原に駐蹕。甲子、耶律阿蘇を契丹行宮都部署、耶律慎思を北院枢密副使とする。庚午、諸路の脱戸の罪が死に至る者を原免するよう詔する。閏月丁丑、漢人行宮副部署罕努を南院大王とする。戊寅、庶人濬を追諡して昭懐太子とするよう詔する。丁亥、凖布が来貢。己丑、興中府事知の邢熙年を漢人行宮都部署、漢人行宮都部署王績を南院枢密副使とする。
  • 秋七月: 乙巳、馬尾山で狩猟。丁巳、慶陵に謁する。癸丑、外官が部内で貸銭して利息を取ることと、使者が民家に館することを禁ずる。
  • 八月: 高麗王徽が薨ずる。
  • 九月: 癸邜朔、日食あり。己酉、白石山で熊を射て、囲場使尼格に左金吾衛大将軍を加える。己巳、高麗王徽の子・三韓国公勲に国事を権知させる。辛未、五国部長が来貢。壬申、北南枢密使官を召して政事を議する。
  • 冬十月: 丁丑、観徳殿に謁する。己邜、南院枢密使劉筠が薨ずる。壬辰、混同郡王耶律伊遜が宋への亡命を謀り誅に伏す。
  • 十一月: 丙午、梁王延禧を燕国王に進封し大赦。南院宣徽使蕭哈噶を南府宰相、三司使王経を参知政事兼知枢密事とする。甲寅、僧善知に高麗が進めた仏経を讐校して頒行させるよう詔する。己未、諸令史・訳史の遷叙等級を定める。
  • 十二月: 丁亥、邢熙年に南院枢密使事を知させる。辛邜、王言敷を漢人行宮都部署とする。高麗三韓国公王勲が薨ずる。是年、御前で進士李君裕ら五十一人を放つ。

太康十年(1084年)

  • 正月: 辛丑朔、春水に幸す。丙午、南京の奉福寺の浮図を復建する。戊辰、山榆淀に幸す。
  • 二月: 庚午朔、蒙古国が使者を遣わし来聘する。
  • 三月: 戊申、遠蒙古国が使者を遣わし来聘する。丁巳、知制誥王師儒・牌印郎君耶律固に燕国王延禧の傅導を命じる。
  • 夏四月: 丁丑、女直が良馬を貢する。
  • 五月: 壬戌、散水原に駐蹕。乙丑、凖布が来貢。丙寅、国舅詳衮の班位を詳衮の下に降す。
  • 六月: 壬辰、銅銭を毀して器を作ることを禁ずる。
  • 秋七月: 甲辰、黒嶺に幸す。
  • 九月: 癸亥、藕絲淀に駐蹕。
  • 冬十二月: 乙未、慶州大安軍を興平と改め、来年を大安と改元し、雑犯死罪以下を赦すことを詔する。

大安元年(1085年)

  • 正月: 丁酉、混同江に幸す。癸邜、王績に南院枢密使事を知させ、邢熙年を中京留守とする。戊申、枢密直学士杜公謂を参知政事とする。庚戌、五国酋長が良馬を貢する。
  • 二月: 辛未、山榆淀に幸す。
  • 夏四月: 乙酉、宋主頊が崩じ、子の煦が嗣位、使者を遣わし告哀する。辛邜、西幸。
  • 六月: 戊辰、図古勒に駐蹕。壬申、王績を南府宰相とし、蕭托卜嘉に南院枢密使事を兼知させる。丁丑、宋へ弔祭の使者を遣わす。戊寅、宋が王真・甄祐らを遣わし先帝の遺物を饋る。
  • 秋七月: 乙巳、宋主の即位を賀する使者を遣わす。戊午、赤山で狩猟。
  • 八月: 丁邜、慶州に幸す。戊辰、慶陵に謁する。
  • 冬十月: 癸亥、好草淀に駐蹕。戊辰、夏国王李秉常が使者を遣わしその母梁氏の哀を報じる。甲申、蕭托卜嘉を南院枢密使とする。
  • 十一月: 乙未、外官が功績によって秩を進めても久しく調せず民がその害を被っている、今後はすべて資に応じて遷転させるよう詔する。丁酉、南女直詳衮蕭伯哩を北府宰相とする。辛亥、史臣が太祖以下七帝の実録を進める。丙辰、使者を遣わし三韓国公王勲の子運を高麗国王に冊立する。己未、僧尼は故無く赴闕できぬよう詔する。
  • 十二月: 甲午、宋が蔡卞を遣わし弔祭を謝す。

大安二年(1086年)

  • 正月: 辛邜、混同江に幸す。己酉、五国諸部長が来貢。癸丑、権翰林学士趙孝厳・知制誥王師儒らを召し五経大義を講じさせる。
  • 二月: 癸酉、山榆淀に駐蹕。是月、太白が歳星を犯す。
  • 三月: 乙酉、女直が良馬を貢する。
  • 夏四月: 戊戌、北幸。癸丑、使者を遣わし統軍使蕭額図琿に太子太保、裨将隆科に金吾衛大将軍、蕭雅克に静江軍節度使、耶律約尼に右監門衛大将軍を加え、諸軍士に賜賚する。
  • 五月: 丁巳朔、牧馬の蕃息が百万に達したことにより群牧官に順次進階を賞する。乙亥、納克濼に駐蹕。戊寅、宰相梁頴が興中府事に出知する。是月、進士張轂ら二十六人を放つ。
  • 六月: 丁亥朔、左伊勒希巴耶律坦を特哩衮知枢密院事とし、耶律額特哷に左伊勒希巴事を兼知させる。丙申、凖布が来朝。癸邜、諸路の獄を按ずる使者を遣わす。甲辰、南京留守事同知耶律納延に右伊勒希巴事を知させる。乙巳、凖布余果南および阿逹が来朝、燕国王延禧に友を結ぶよう詔する。戊申、契丹行宮都部署耶律阿蘇に北院大王事を兼知させる。壬子、高墩以下の県令・録事の兄弟および子はすべて叙用を許す。
  • 秋七月: 丁巳、惠妃の母燕国夫人錫庫が厭魅により梁王事が発覚し誅に伏し、子の蘭陵郡王蕭綽哈は除名され辺郡に置かれ興聖宮に隷す。戊午、沙嶺で狩猟。甲子、興聖・積慶二宮の貧民に銭を賜う。乙酉、遼州の貧民に粟を出して振済する。
  • 八月: 戊子、雪により狩猟を罷める。
  • 九月: 庚午、上京に還る。壬申、上京・中京の貧民に粟を発して振済する。丙子、二儀殿・五鸞殿に謁する。己邜、太祖・太宗が着用した鎧を出して燕国王延禧に示し、創業征伐の困難を諭す。辛巳、南府宰相を召して国政を議する。
  • 冬十月: 乙酉朔、枢密副使竇景庸に枢密院事を知させる。丙戌、五国部長が来貢。丁亥、夏国王李秉常が薨じ、使者を遣わしその子乾順に国事を知させるよう詔する。
  • 十一月: 甲戌、燕国王延禧のため再生礼を行い、上京の囚人を曲赦する。戊寅、高麗が使者を遣わし封冊を謝す。癸未、乾・顕・成・懿四州の貧民に粟を出して振済する。
  • 十二月: 辛邜、蘭陵郡王蕭托卜嘉を南院枢密使とする。己亥、夏国王李乾順が使者を遣わしその父の遺物を献上する。