六韜軍用

  • 要旨: 太公望は甲士一万人を基準に、攻城用の戦車、打撃武器、防御用の障害物、渡河・防柵の具、工具類、兵員配分に至るまでの装備一式とその数量を具体的に示し、これが挙兵の際の軍用の基準であると説く。

攻城戦車類

  • 武衝大扶胥(大型攻城車)36台。材士・強弩・矛戟を左右に配し、車輪八尺、旗鼓を立てる。「震駭」と呼ばれ、堅陣を陥落させ強敵を破る。
  • 武翼大櫓・矛戟扶胥72具。材士・強弩・矛戟を配し、車輪五尺、絞車連弩を備え、堅陣を陥落させ強敵を破る。
  • 提翼小櫓扶胥144具。絞車連弩を備え鹿車輪を用い、堅陣を陥落させ強敵を破る。
  • 大黄参連弩大扶胥36台。材士・強弩・矛戟を配し、飛鳧(銅鏃・赤柄白羽)・電影(鉄鏃・青柄赤羽)という矢を備え、昼は絳色・夜は白色の布を目印とし、堅陣を陥落させ歩騎を破る。
  • 大扶胥衝車36台。螳蜋武士が共に乗り、縦横に撃って敵を破る。
  • 輜車騎寇(電車)。「電撃」と呼ばれ、堅陣を陥落させ歩騎を破り、夜襲の寇に備える。
  • 矛戟扶胥軽車160台。螳蜋武士3人が共に乗り、「霆撃」と呼ばれ堅陣を陥落させ歩騎を破る。

打撃武器

  • 方首鉄棓(天棓)重さ十二斤、柄五尺以上、千二百本。
  • 大柯斧(天鉞)刃八寸・重さ八斤、柄五尺以上、千二百本。
  • 方首鉄槌(天槌)重さ八斤、柄五尺以上、千二百本。歩騎の群寇を破るのに用いる。
  • 飛鉤 長さ八寸・鉤先四寸、柄六尺以上、千二百本。敵衆に投げつける。

防御障害物

  • 木螳蜋剣刃扶胥(行馬)幅二丈、百二十具。平地で歩兵が車騎を破るのに用いる。
  • 木蒺藜、地上二尺五寸、百二十具。歩騎を破り窮寇を阻み、敗走を遮る。
  • 軸旋短衝矛戟扶胥百二十具(黄帝が蚩尤を破った道具とされる)。歩騎を破り窮寇を阻み、敗走を遮る。
  • 鉄蒺藜(狭路用)芒高四寸・幅八寸・六尺以上、千二百具。歩騎を破る。
  • 地羅(両鏃の蒺藜を連ねたもの)芒の間隔二寸、一万二千具。急な夜襲・接近戦に用いる。
  • 方胸鋋矛千二百具(高さ一尺五寸で張る)。歩騎を破り窮寇を阻み、敗走を遮る。
  • 鉄械鎖(地陥に連ねる)百二十具。歩騎を破り窮寇を阻み、敗走を遮る。

城門防御・渡河具

  • 矛戟小櫓十二具(絞車連弩を備え塁門を守る)。
  • 天羅・虎落鎖連百二十具(幅一丈五尺・高八尺)、虎落剣刃扶胥五百二十具。三軍の防守に用いる。
  • 飛橋(幅一丈五尺・長二丈以上)八具、轆轤で環利通索を張り溝塹を渡る。
  • 飛江(幅一丈五尺・長二丈以上)八具、環利通索を張り大水を渡る。
  • 天浮鉄螳蜋(内は矩・外は円、径四尺以上)三十二具。飛江と組み合わせ大海を渡る「天潢(天舡)」となる。

山林野営の設備

  • 虎落柴営を結ぶ環利鉄鎖(長二丈以上)千二百本。
  • 環利大通索(太さ四寸・長四丈以上)六百本、環利中通索(太さ二寸・長四丈以上)二百本、環利小徽縲(長二丈以上)一万二千本。
  • 雨天用の車上覆い(幅四尺・長四丈以上)一具、鉄杙で張る。

工具類

  • 伐木大斧(重八斤・柄三尺以上)三百本、棨钁(刃幅六寸・柄五尺以上)三百本、銅築(長五尺以上)三百本。
  • 鷹爪・方胸鉄杷(柄七尺以上)三百本、方胸鉄叉(柄七尺以上)三百本、方胸両枝鉄叉(柄七尺以上)三百本。
  • 大鎌(柄七尺以上)三百本、大櫓刀(重八斤・柄六尺)三百本、委環鉄杙(長三尺以上)三百本、椓杙大槌(重五斤・柄二尺以上)百二十具。

兵員編成

  • 甲士一万人に対し、強弩六千・戟楯二千・矛楯二千を配し、攻具を修め兵器を研ぐ巧手三百人を置く。
  • これが挙兵・軍用の大数であると太公望は結び、武王はこれに深く納得する。