- 要旨: 太公望は戦う前に敵の強弱・勝敗を見抜く方法として、士卒の言動や気の様子、さらに攻城時に立ち上る城の気の色・向きから吉凶を判断する術を説く。
勝敗の徴は精神に現れる
- 武王が、戦う前に敵の強弱を知り勝敗の兆しを見抜きたいと問うと、太公望は勝敗の徴はまず精神に現れ、明将はこれを察するとし、敵の出入進退・動静・言葉・妖祥、士卒の告げることを謹んで観察すべきだとする。
強徴と弱徴
- 三軍が悦び、士卒が法を畏れ将の命を敬い、互いに敵を破ることを喜び、勇猛を誇り合い、威武を賢しとし合うのは「強徴」である。
- 三軍がしばしば驚き、士卒が乱れ、互いに強敵を恐れ不利を語り合い、耳目が落ち着かず妖言が絶えず、衆口が惑い、法令を畏れず将を重んじないのは「弱徴」である。
陣容に現れる徴
- 三軍が整然とし陣勢が固く、深い溝・高い塁を築き、さらに大風・激しい雨の利があり、三軍に故(変事)なく旌旗が前を指し、金鐸の音が清く高く、鼙鼓の音が鳴り渡るのは、神明の助けを得た大勝の徴である。
- 行陣が固まらず旌旗が乱れて絡まり、大風・激しい雨に逆らい、士卒が恐れ気が絶えて続かず、戎馬が驚き奔り兵車の軸が折れ、金鐸の音が低く濁り、鼙鼓の音が湿って響かないのは、大敗の徴である。
城攻めにおける気の観察
- 城を攻め邑を囲むとき、城の気の色が死灰のようであれば、その城は屠ることができる。
- 城の気が出て北に向かえば城に克つことができ、西に向かえば城は必ず降る。
- 南に向かえば城を抜くことはできず、東に向かえば城を攻めることはできない。
- 気が出てまた城内に戻れば城主は逃走する徴であり、気が出て我が軍の上を覆えば我が軍は病むとされ、気が出てどこにも留まらなければ戦は長引くとする。
撤退の判断
- 城を囲んで十日を過ぎても雷も雨もなければ、必ず速やかに退くべきで、城には必ず大きな援けがあるとする。
- こうして攻めるべきか止めるべきかを知ることができると結ぶ。武王はこれに「善哉」と応じる。