- 要旨: 太公望は五音(宮・商・角・徵・羽)と五行を対応させ、律管を用いて夜間に敵陣の気を聴き取ることで、敵の動静や勝敗の機を察知する術を説く。
五音と五行
- 武王が律音の声によって三軍の消息や勝負を知ることができるかを問うと、太公望は深遠な問いだとした上で、十二律管の要は宮・商・角・徵・羽の五音にあり、これは万代変わらぬ正声で、五行の神に通じる常の道であると答える。
- 金・木・水・火・土のそれぞれの勝つ関係によって敵を知ることができるとし、上古の三皇の世は虚無の情によって剛強を制し、文字がなくとも五行によって成り立っていたとする。
律管を用いる術
- その方法は、天が清浄で陰雲や風雨のない夜に、軽騎を敵の塁の九百歩外まで遣り、律管を耳に当てて大声で驚かせるというものである。
- 応じて聞こえる音は極めて微かで、角の音に応じれば白虎、徵の音に応じれば玄武、商の音に応じれば朱雀、羽の音に応じれば勾陳の配当があるとする。
- 五管いずれにも応じなければ宮であり、青龍に配される。これらは五行の符(しるし)であり、勝敗を佐ける徴、成敗の機であるとする。武王はこれに「善哉」と応じる。
外に現れる徴候
- 太公望は「微妙な音には必ず外に現れる徴候がある」と続ける。
- 武王がその見分け方を問うと、太公望は敵が驚き動いたときにこれを聴くとし、太鼓の音が聞こえれば角、火光が見えれば徵、金鉄・矛戟の音が聞こえれば商、人の叫び呼ぶ声が聞こえれば羽、静寂で何も聞こえなければ宮であるとし、これら五つを声色の符であると結ぶ。