- 要旨: 太公望は兵士が士気高く先んじて戦うようになる方法は将自らが士卒と苦楽を共にすること、すなわち「礼将・力将・止欲将」の三つの実践にあると説く。
三勝の提起
- 武王は、三軍の兵が城攻めで先んじて登り、野戦で先んじて赴き、鉦の音を聞けば怒り太鼓の音を聞けば喜ぶようにしたいと望み、その方法を問う。
- 太公望は「将には三勝がある」と答える。
礼将・力将・止欲将
- 礼将:将は冬に裘を着ず、夏に扇を使わず、雨でも傘を張らない。自ら礼をもって身を律しなければ、士卒の寒暑を知ることができないとする。
- 力将:隘塞を出て泥道を犯すときは、将が必ず先に馬を下りて歩く。自ら力を尽くさなければ、士卒の労苦を知ることができないとする。
- 止欲将:軍が宿営を定めてから将は初めて舎に就き、炊事が全て熟してから将は初めて食し、軍が火を焚かなければ将も焚かない。自ら欲を止めなければ、士卒の飢えと飽きを知ることができないとする。
効果
- 将が士卒と寒暑・労苦・飢飽を共にすることで、三軍の兵は太鼓の音を聞けば喜び鉦の音を聞けば怒るようになる。
- 高い城・深い堀に矢石が繁く降り注いでも士は先んじて登ろうと争い、白刃が交わり始めても士は先んじて赴こうと争う。
- これは士が死や傷を好むからではなく、将が寒暑・飢飽を明らかに知り、労苦を明察していることが分かっているからだと結ぶ。