六韜王翼

  • 要旨: 太公望は将たる者が軍を統率するには、股肱羽翼となる七十二人の補佐役を天道になぞらえて組織すべきだとし、その十四の職掌と人数を具体的に列挙する。

補佐組織の必要性

  • 武王が王者が軍を率いるには必ず股肱羽翼が要り、威と神秘の力を成すべきだがどうすべきかを問う。
  • 太公望は、兵を挙げ軍を率いるには将が命(要)であり、その命は各人の能力に応じて職を受け、それぞれの長所を活かし時に応じて変化する組織が綱紀となると答える。将には天道に応じる七十二人の股肱羽翼がいると説く。

十八の職掌(七十二人の内訳)

  • 腹心一人:謀を助け不測の事態に応じ、天を推し量って変化を消し、計謀を総攬して民命を保全する。
  • 謀士五人:安危を図り未然を慮り、行いと能力を論じ、賞罰を明らかにし官位を授け、疑いを決し可否を定める。
  • 天文三人:星暦を司り風気を候い時日を推し、符験を考え災異を校べ、天心の去就の機を知る。
  • 地利三人:三軍の行止・形勢・利害・遠近険易・水の涸れや山の険を司り、地の利を失わないようにする。
  • 兵法九人:異同を講論し、行事の成敗を論じ、兵器を簡練し、非法を摘発する。
  • 通糧四人:飲食・蓄積を計り糧道を通じ五穀を致し、三軍を困乏させないようにする。
  • 奮威四人:材力ある者を選び兵革を論じ、風馳電掣(風や雷のような速さ)で動き、その所在を敵に知らせない。
  • 伏鼓旗三人:鼓旗を伏せ耳目を明らかにし、符節を詭り号令を偽り、闇の中を神のごとく往来する。
  • 股肱四人:重責を任せ困難を持し、溝塹を修め壁塁を治めて守禦に備える。
  • 通材三人:遺漏を拾い過ちを補い、賓客に応対し、議論談話して患いを消し結び目を解く。
  • 権士三人:奇譎を行い異なる策を設け、人に知られぬまま窮まりない変化を行う。
  • 耳目七人:往来して言を聴き変を視、四方の事や軍中の情を覧る。
  • 爪牙五人:威武を揚げ三軍を激励し、難を冒し鋭を攻めさせて疑慮を持たせない。
  • 羽翼四人:名誉を揚げ遠方を震わせ、四境を揺り動かして敵の心を弱める。
  • 遊士八人:奸を伺い変を候い、人情を開闔し、敵の意を観て間諜とする。
  • 術士二人:譎詐を行い鬼神に託して衆心を惑わす。
  • 方士二人:百薬を司り金瘡を治し万病を癒す。
  • 法筭二人:三軍の営壁・糧食・財用の出入りを計会する。