六韜論將

  • 要旨: 太公望は将たる者が備えるべき「五材」と、陥りやすい弱点「十過」を挙げ、それぞれの弱点がいかに敵に付け込まれるかを示し、将の選任の重要性を説く。

五材

  • 勇・智・仁・信・忠の五つを将の材とする。
  • 勇であれば犯すことができず、智であれば乱すことができず、仁であれば人を愛し、信であれば人を欺かず、忠であれば二心がないとする。

十過とその弱点

  • 勇にして死を軽んじる者は、暴(激しく攻める)ことで陥れられる。
  • 急にして心が逸る者は、持久戦で疲弊させられる。
  • 貪にして利を好む者は、利で釣られて損なわれる。
  • 仁にして人に忍びない者は、労させて疲弊させられる。
  • 智にして心が怯む者は、窘め(追い詰める)ことで陥れられる。
  • 信にして人を信じやすい者は、誑かされる。
  • 廉潔にして人を愛さない者は、侮られる。
  • 智にして心が緩い者は、襲われる。
  • 剛毅にして自ら用いる(人の意見を聞かない)者は、事に乗じて陥れられる。
  • 懦弱にして人に任せることを喜ぶ者は、欺かれる。

結び

  • 兵は国の大事であり存亡の道であって、その命運は将にかかっている。将は国の輔であり先王が重んじたものである。
  • ゆえに将の選任は慎重に見極めねばならず、「兵は両勝せず、また両敗もせず」と説く。
  • 軍が国境を越えて出て十日を出ずして、国が滅びるか、軍が破れ将が殺されるかのいずれかになるとし、武王はこれに「善哉」と応じる。