六韜發啟

  • 要旨: 太公望は文王に、殷を討つには天の殃・人の災いを見極めた上で動くべきであり、天下は一人のものではなく利を天下と分かち合う者だけがそれを開く(啟く)ことができると説く。

発端

  • 豊にいた文王が太公望を召し、商王の暴虐と無辜の殺戮を憂え、民のために助けを求める。
  • 太公望は、王がまず徳を修めて賢者に下り、民に恵みを与えて天道を観るべきだと答える。

動く時機の見極め

  • 天道に殃いがなければ先んじて動いてはならず、人道に災いがなければ先んじて謀ってはならない。天の殃い・人の災いの両方を見た上で初めて謀るべきである。
  • 陽(表)と陰(裏)、外と内、疎と親を見極めることで、相手の心・意・情を知ることができるとする。
  • 道を行い、門から入り、礼を立て、強きを争えば、それぞれを得ることができ、完全な勝利は戦わずして得られ、大兵は傷を負わずして鬼神に通じると説く。

天下は一人のものではない

  • 天下は一人のものではなく天下の人々のものであり、天下に利をもたらす者には天下が開かれ(啟)、天下に害をなす者には天下が閉ざされる。
  • 天下を取ろうとする者は野獣を追うように、天下の人々に分け前を得る心があり、同じ舟で渡るように利も害も共にすると説く。
  • 民から取らない者こそが民を(真に)取り、国から取らない者こそが国を取り、天下から取らない者こそが天下を取るとし、民・国・天下がその者を利すると論じる。

殷の亡国の兆し

  • 猛禽が獲物を襲う前には低く飛んで翼を斂め、猛獣が搏つ前には耳を伏せるように、聖人が動く前には愚かに見える色を装うとする。
  • 殷は衆口が惑わされ、色を好んで極まりなく、これが亡国の兆しであるとする。
  • 野には草が穀物に勝り、民には邪曲が正直に勝り、官吏には暴虐で法を乱す者が多く上下ともに気づかない、これが亡国の時であると観察する。
  • 大いなる明が発すれば万物は照らされ、大義が発すれば万物は利を得、大兵が発すれば万物は服すると結ぶ。