列女傳卷六 齊鍾離春

醜女、宣王への謁見を願う

  • 鍾離春は斉の無塩邑の女で、のちに宣王の正后となった。人となりは並外れて醜く、頭は臼のように出っ張り、目は落ち窪み、体は長大で骨太、鼻は反り上がり、喉仏が突き出て、首は太く肉づき、髪は薄く、腰は曲がり、胸は突き出て、肌は漆のように黒かった。年四十になっても嫁ぐ先がなく、自ら売り込んでも相手にされず、見捨てられたまま誰にも引き取られなかった。
  • そこで粗末な短い衣を整え、自ら宣王のもとへ赴き、取次の者に「私は斉の縁遠い女です。君王の聖徳を聞き及び、後宮の掃除役に加えていただきたく、司馬門の外で頭を下げております。王がお許しくださいますよう」と願い出た。取次がこれを伝えると、宣王はちょうど漸台で酒宴を開いており、周りの者はみな口を覆って大笑いし、「これは天下に恥知らずな女子だ、なんと奇妙なことか」と言った。

隠語の試練と四つの危機の指摘

  • 宣王は召し出し、「先王が私に妃を娶らせ、すでに後宮の位はすべて満ちている。それなのにお前は郷里にも受け入れられぬ身でありながら天子に近づこうとする、何か特別な才能でもあるのか」と問うた。鍾離春は「特にございません、ただ大王の美徳を密かに慕っているだけです」と答えた。王が「それにしても何か長じたものはあるか」と重ねて問うと、しばらくして「隠し事を密かに好んでおります」と答えた。宣王は「隠語こそ私の望むところだ、試しにやってみよ」と言ったが、言い終わらぬうちに鍾離春はふと姿を消してしまった。宣王は驚き、隠語の書を取り出して調べ、意味を考えたが分からなかった。
  • 翌日再び召して問うと、鍾離春は隠語で答えず、ただ目を見開き歯を食いしばり、手を挙げ膝を打って「殆いかな殆いかな」と四度繰り返した。宣王が「ぜひその意味を聞きたい」と言うと、鍾離春は答えた。「今、大王が国を治めるにあたり、西には強秦の脅威、南には強楚との対立、外には二国の難があります。内には姦臣が集まり、人々は君に従いません。歳は四十になっても壮健な男子(太子)を立てず、多くの子を作ることより多くの女に励んでいます。好むものを尊び、頼るべきものを軽んじています。ひとたび山陵が崩れれば(王が崩御すれば)、社稷は定まりません。これが第一の危機です。」
  • 「漸台は五重に築かれ、黄金白玉、琅玕の玉飾りに翡翠珠玉、幕をめぐらせた飾りは万民を疲弊させ尽くしています。これが第二の危機です。賢者は山林に隠れ、諂う者は側近に強く根を張り、邪悪で偽りの者が朝廷に立ち、諫める者は取り次がれません。これが第三の危機です。酒に溺れ夜を日に継いで飲み続け、女楽や俳優が入り乱れて大笑いする。外には諸侯への礼を修めず、内には国家の政を執らない。これが第四の危機です。それゆえ『殆いかな殆いかな』と申し上げたのです」と述べた。

宣王が政を改める

  • 宣王は嘆息して「無塩の女の言葉の痛切なことよ、今初めて聞いた」と述べ、漸台を取り壊し、女楽を廃し、諂う者を退け、装飾を除き、兵馬を選び、府庫を充実させ、四方の門を開いて直言を招き、身分低い者の声にも耳を傾けた。吉日を占って太子を立て、母となる者を進め、無塩の女を后として迎えた。斉国が大いに安定したのは、この醜女の力によるものであった。君子は「鍾離春は正しくて言葉に長けていた」と評した。

史論

  • 『詩経』に「すでに君子にまみえたので、私の心は喜ばしい」とあるが、まさにこのことである。
  • 頌に曰く、無塩の女が斉の宣王に諫言を求め、四つの危機を分けて論じ、国が乱れ煩わしいことを述べた。宣王はこれに従い、四方の門を開き、ついに太子を立て、無塩の君を后として迎えた、という。