列女傳卷五 梁節姑姊

火事と我が子の取り違え

  • 梁節姑姊は梁の婦人である。火事が起こり、兄の子と自分の子が家の中に取り残された。兄の子を助け出そうとしたが、間違って自分の子ばかりを取り出してしまい、兄の子は救い出せなかった。
  • 火の勢いが激しく、再び中に入ることができなかった。婦人は自ら火の中に飛び込もうとした。友人がこれを止めて「あなたはもともと兄の子を助けようとしたのに、慌てて間違って自分の子を助けてしまっただけ。心の中では何も変わらないのに、なぜ自ら火に飛び込む必要があるのか」と言った。
  • 婦人は「梁の国中の人にどうして戸別に事情を告げられましょうか。不義の汚名を着せられては、兄弟や国人にどんな顔向けができましょう。かといって我が子をもう一度火に投じるのは、母としての情に背きます。私はもう生きてはいられません」と答え、火の中に身を投げて死んだ。

史論

  • 君子は節姑姊を「潔く汚れのない人物」と評した。『詩経』に「あの方は、命を捨てても節を変えぬ」とあるのはこのことをいう。
  • 頌に曰く、梁節姑姊は義に拠り理を守った。子と甥が共に家の中にいたところ大火が起こり、甥を助け出そうとしたのに誤って我が子だけを助けてしまい、火の勢いが強まると自ら身を投げ、自らを私しなかったことを明らかにした、という。