列女傳卷五 代趙夫人

出自と代王への嫁入り

  • 代趙夫人は趙の衛子の娘で、趙襄子の姉であり、代王の夫人となった女性である。

弟による代王暗殺

  • 衛子が葬られた後、まだ喪も明けぬうちに、襄子は夏屋の地に登り代王を誘い出した。料理人に斗の柄を持たせて代王とその従者に食事をふるまわせ、給仕をさせる中、密かに宰人に斗で代王と従者を打ち殺させた。そして兵を挙げて代の地を平定し、姉である趙夫人を迎えようとした。
  • 夫人は「私は先君の命を受けて代王にお仕えして十余年になります。代に大きな過ちはなかったのに、主君である弟がこれを滅ぼしました。代が既に滅んだ今、私はどこへ帰ればよいのでしょう。また、婦人の義に二夫はないと聞きます。私にどうして二人の夫がありましょうか。弟のために夫を軽んずるのは義ではなく、夫のために弟を怨むのも仁ではありません。私は怨みはしませんが、帰りもいたしません」と述べ、天に向かって泣き叫び、靡笄の地で自殺した。代の人々は皆これを慕った。

史論

  • 君子は趙夫人を「夫婦の間の処し方に優れていた」と評した。『詩経』に「僭らず賊わなければ、多くの者が模範とする」とあるのはこのことをいう。
  • 頌に曰く、趙襄子は代の夫人の弟でありながら、代王を襲い滅ぼしてその姉を迎えようとした。姉は義理を引いて礼節を守り、帰りもせず怨みもせず、そのまま野に留まり死んでいった、という。